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相続税の申告漏れがバレる!?国税庁がAIで2023年分から調査へ。

相続税

佐藤 智春

相続税調査にもAI本格導入へ。

2025年夏から、国税庁がAI(人工知能)を相続税にも本格的に導入し、相続税の申告漏れに対する調査が大きく変わろうとしています。すでに所得税などでAIを活用した結果、過去最高の追徴税額を記録したとの報道もあり、相続税においても同様の流れが予想されます。

特に2023年以降に相続が発生した方は、今後のAIによるスコアリング対象となる可能性が高く、適正な申告と対策がより重要になります。本記事では、AI導入による相続税調査の変化や、申告漏れのリスク、適正な申告のための注意点について解説します。

日本経済新聞|相続税もAIが調査へ

 


 

AI導入が相続税に与える影響。

国税庁は相続税の税務調査にAIを活用し、相続税申告書や財産債務調書、海外送金、生命保険の支払調書、金地金売却記録などの多岐にわたる資料を分析・スコア化する仕組みを導入すると発表しています。これまで調査官の経験や勘に頼っていた調査対象の選定が、AIによって客観的かつ広範に行われることで、見落としや偏りのない調査が可能になるとされています。

特に、これまで把握が難しかった海外資産や仮想通貨などの申告漏れリスクに対しても、AIは高精度で検出できる能力を持っています。国際的な金融情報交換制度の強化や、取引履歴のデータ化が進む中で、従来の「海外なら見つからない」といった考えは通用しなくなるでしょう。

考えられる影響

1.丁寧な申告がますます重要
AIは申告内容の矛盾や漏れを自動で検出します。適当な申告では済まされず、正確で丁寧な対応が求められるようになります。

2.海外資産や仮想通貨も厳密
「海外だからバレない」「仮想通貨は匿名で安心」といった考えは通用しなくなり、申告すべき資産が広がります。

3.申告ミスによる調査リスク
見落としや勘違いによる申告ミスでも、AIにより高リスク判定を受ける可能性があるため、プロのチェックが重要になります。

4.申告内容の裏付け資料が必要
申告の信頼性を高めるために、通帳コピーや契約書など証拠資料の整備・保存が今まで以上に求められます。

5.税理士に相談するメリットが拡大
AI時代では税務の専門性がより重要に。税理士の助言を受けながら申告することで、リスク回避と節税の両立が期待できます。

AIの導入により、調査対象の選定が全国一律に行われることも期待され、税務行政の公平性や透明性の向上にもつながる一方、相続税の申告内容はこれまで以上に精密にチェックされるようになります。相続税が発生した方にとっては、より丁寧で正確な申告が求められる時代となりつつあります。

相続税の計算には専門知識が必要であり、自己流での申告は申告ミスや調査対象となるリスクを高めかねません。安心して相続手続きを進めるためにも、相続専門の税理士に相談することを強くおすすめします。

実際にあったご相談事例

 


 

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申告漏れリスクと相続税申告。

相続税の申告義務は、相続財産の総額が基礎控除(3000万円+法定相続人1人当たり600万円)を超える場合に発生します。しかし、資産の把握漏れや「現金なら申告しなくてもバレないだろう」という油断から、申告漏れが起きることがあります。

申告漏れが判明した場合、重加算税や延滞税などのペナルティが課せられる可能性があります。

課せられるペナルティ一例
(例)
修正による追加の納税額:500万円
延滞日数:80日

1. 重加算税
重加算税は、故意に財産を隠したり、隠ぺいした場合に課される非常に重いペナルティです。
故意に財産を隠していた場合(加算税率35%)
重加算税額(175万円)

2.延滞税
延滞税は、法定納期限(原則として相続開始を知った日から10か月)を過ぎても納付されなかった場合に課されます。
最初の(61日間は税率2.4%)
その後(19日間は税率8.7%)
延滞税額(42,600円)※100円未満切り捨て

合計の追加負担額
6,792,600円
500万円(追加の相続税)
175万円(重加算税)
42,600円(延滞税)

このように、追加の納税額が500万円でも、ペナルティでさらに約180万円の追加負担となる可能性があり、非常に大きなリスクとなります。

 


 

特に、2023年以降の相続事案はAIによるスコアリング対象となるため、これまで以上に正確な申告が求められます。

相続税の申告方法
相続税は、被相続人の財産や債務を集計し、相続人ごとの取得額を算出して申告書に記載します。遺産分割協議書や評価資料などを添付し、税務署へ提出します。

相続税の申告期限
相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。この期限までに申告と納税を完了する必要があります。
一般的に、税理士事務所などに相続税申告をご依頼いただいた場合、申告完了までに3〜5カ月くらいの時間を要することがあります。

相続税の申告先
相続税の申告先は、被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署です。相続人の住所地ではないため、提出先を間違えないよう注意が必要です。

AI導入の今だからこそ、より慎重で確実な対応が求められています。相続税の申告においては、相続する財産を正確に把握すること、そして専門家への相談を早めに行うことが、申告漏れや調査リスクの回避につながります。

相続税申告完全ガイド

 


 

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AI導入による相続税の注意点。

相続税申告はもともと複雑な手続きですが、今後はAIの導入によって申告内容の精度がより厳しく問われるようになります。適正な申告を行うためには、事前準備と正確な情報整理がこれまで以上に重要です。

主な注意点

1.財産の全体像を正確に把握
預金や不動産、保険、仮想通貨など、すべての資産をもれなくリストアップし、相続税の申告に向けた基礎資料を整備しましょう。

2.書面で残せる資料を整備
遺産分割協議書や贈与契約書などは、後から税務調査で必要となる場合も。正確な記録を紙やPDFなどで残すことが大切です。

3.海外資産や仮想通貨も記録保存
海外送金や仮想通貨の取引記録は、デジタルデータとしてしっかり保存。AIはこうした履歴からリスクを判断します。

4.家族構成の時系列把握
誰がいつどのように財産を取得したのか、家族の動きや相続関係の背景を時系列で整理しておくと、申告時に役立ちます。

5.生前贈与や信託の証拠整備
生前対策をした場合は、贈与契約書や資金移動の記録など形式面をしっかり整え、贈与が実体のあるものと証明できるようにしましょう。

 


 

また、申告の正確性が求められる今、生前からの対策が将来の申告リスクを下げ、家族間のトラブル防止や節税にもつながります。早めの準備が安心な相続の第一歩です。

代表的な生前対策

1.生前贈与の活用
毎年の非課税枠(年間110万円)を活用して、計画的に財産を分散することが可能です。贈与契約書の作成や記録の保存が、贈与を証明するうえで重要です。
また、「相続時精算課税制度」を利用すれば、60歳以上の父母や祖父母から、子や孫へ贈与する際に、2,500万円まで贈与税がかからずに贈与でき、相続時にまとめて税金を精算します。まとまった資産を早期に移転したい場合に有効な制度です。

2.遺言書の作成
法的効力のある遺言書を残すことで、相続人間の争いを防ぎ、スムーズな相続を実現できます。

3.家族信託の設定
認知症対策や資産管理として有効。専門家とともに設計することで、柔軟な承継が可能になります。

4.不動産の共有解消
相続トラブルの元となる不動産の共有を事前に解消。売却や分筆も含めた対策が有効です。

5.保険による納税資金の確保
生命保険を活用して、相続税の納税資金を確保。特定の相続人への資金準備としても活用できます。

相続税の計算や申告は非常に専門性が高く、AI導入によってその厳密さがさらに求められます。不安な点がある方は、相続に精通した税理士へ相談することで、正確で安心な申告が可能になります。税制は複雑で個人差も大きいため、適用できる特例や控除については、税理士などの専門家の助言を受けながら検討しましょう。

相続トラブルを防ぐ生前対策

 


 

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AI時代の申告は相続専門家へ。

AIによる相続税の調査強化は、単に厳罰化を目指すものではなく、公平な課税を実現するための制度改革の一環です。しかし、テクノロジーの進化により、これまで見逃されてきた部分にも目が届くようになる今、申告の正確性がこれまで以上に求められるようになります。

相続税の申告においては、専門知識がないと財産評価や適用特例の判断を誤り、かえって多く納税してしまうケースや、申告漏れによるペナルティを受けるリスクもあります。だからこそ、相続の不安や疑問がある方は、早めに相続専門の税理士に相談し、安心・確実な相続税申告を目指しましょう。

 


 

相続は財産の大小に関わらず、すべての方に関係する大切な問題です。相続の専門家が在籍する、みらいえ相続グループへお気軽にご相談ください。

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[監修]

佐藤 智春代表 税理士・行政書士

経歴:仙台大原簿記専門学校卒業後、宮城県で最年少税理士登録。20年以上の実務経験を持ち相続専門税理士として数多くの案件を手がける。(2024年相続税申告実績/222件) 相続専門税理士佐藤智春は税理士の日(2月23日)に産まれ、二次相続はもちろん、三次相続までサポートできます。多くの案件をこなしているからこそ三次相続まで見据えた遺産の分け方を提案しています。

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