相続税申告
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一般のお客様から相続サポートしている人まで幅広く役立つ相続に関する知識をわかりやすくご紹介しています。
佐藤 智春
2024年4月1日から、相続によって不動産を取得した相続人には、原則として、相続の開始があったことと、その不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務付けられました。正当な理由なく申請を怠った場合には、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。また、相続登記の義務化は2024年4月1日以降に発生した相続だけが対象ではありません。2024年4月1日以前に発生した相続も対象となるため、亡くなった方や先代の名義のままになっている不動産にも注意が必要です。
また、相続手続きで気をつけたいのは登記だけではありません。相続税の申告・納税期限は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。遺産分割が終わっていなくても、申告期限が自動的に延長されるわけではありません。つまり、「相続登記は3年以内だから、まだ時間がある」と考えている間にも、相続税の10か月という期限は進んでいきます。
さらに、相続した不動産を売却する場合で税制上の特例を受けたいときにも期限のある手続きがあります。このことから相続では、財産調査、遺産分割、相続税申告、登記、不動産売却までを一連の流れとして考え、「いつまでに、何を決める必要があるのか」を早い段階で整理することが重要です。この記事では、相続登記だけでなく、相続税や不動産に関する注意点を、期限や制度とあわせてわかりやすく解説します。
出典元|法務省「相続登記の申請義務化について」
出典元|国税庁「No.4205相続税の申告と納税」
相続では、さまざまな手続きの期限が同時に動き始めます。特に不動産がある場合、相続登記は原則3年以内、相続税の申告・納税は原則10か月以内です。
この期限の違いを理解せず、「登記はまだ3年ある」と考えて手続きを後回しにすると、相続税の申告や特例の適用に影響が出る可能性があります。相続全体のスケジュールを確認し、計画的に手続きを進めることが大切です。

注意.1
遺産分割中でも期限は10か月
相続税の申告・納税は、原則として、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。遺産分割がまとまっていなくても、申告期限が自動的に延びるわけではありません。
期限までに遺産分割が終わらない場合は、原則として、未分割の財産を各相続人が民法上の相続分などに従って取得したものとして相続税を計算し、期限内に申告・納税する必要があります。そのため、「遺産分割が決まってから相続税申告をすればよい」と考えていると、申告期限に間に合わなくなる可能性があります。
出典元|国税庁「No.4208相続財産が分割されていないときの申告」
注意.2
未分割では特例に注意
相続税には、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」など、一定の要件を満たすことで税負担を抑えられる制度があります。しかし、申告期限までに遺産分割が終わっていない財産については、原則として、当初申告ではこれらの特例を適用できないことがあります。
その場合、いったん特例を適用せずに相続税を計算し、申告・納税しなければならないケースがあります。本来であれば特例によって相続税の負担を大きく抑えられる場合でも、遺産分割が決まっていないことで、一時的に大きな納税資金が必要になる可能性があります。
注意.3
後から特例を使える場合もある
申告期限までに遺産分割が終わらなかったからといって、必ずしも特例を使えなくなるとは限りません。未分割のまま相続税申告をする場合でも、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し、その後、原則として申告期限から3年以内に遺産分割が成立すれば、更正の請求などによって、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用できる余地があります。
ただし、これは「申告期限を過ぎても大丈夫」という意味ではありません。相続税そのものは10か月以内に申告・納税する必要があり、必要な書類や手続きを適切に行っておくことが重要です。
注意.4
財産と納税資金を早めに把握する
将来、特例の適用によって税金が戻る可能性があっても、相続税は原則として申告期限までに納付する必要があります。特に注意したいのが、相続財産の多くを土地や建物などの不動産が占め、預貯金などの現金が少ないケースです。相続財産の評価額は大きいのに、納税に使える現金が不足することがあります。
また、相続税申告では、相続人や遺言書の確認をはじめ、預貯金、有価証券、生命保険、不動産、債務などの調査、不動産などの財産評価、遺産分割、納税資金の準備を進めなければなりません。つまり、「10か月」は、相続税申告書を作成するためだけの期間ではありません。財産を調べ、評価し、家族で話し合い、遺産分割を決め、申告書を作成し、納税するところまでを進めるための10か月です。早い段階から財産の全体像や相続税額の見込み、納税資金について確認しておくことが大切です。
出典元|国税庁「No.4202相続税の申告のために必要な準備」
注意.5
古い相続にも期限があります
相続登記の義務化は、2024年4月1日より前に発生した相続も対象です。施行前から不動産を相続したことを知っていた場合は、原則として2027年3月31日までに相続登記を行う必要があります。
特に古い相続では、亡くなった方の名義ではなく、祖父母など先代の名義のまま不動産が残っているケースもあります。時間が経過するほど相続人が増えたり、戸籍の収集や相続関係の確認が複雑になったりする可能性があります。長期間放置するほど手続きが難しくなることがあるため、早めの確認が大切です。
相続登記の期限は原則3年ですが、相続税には原則10か月という、より短い期限があります。大切なのは、「相続登記をいつするか」ではなく、財産調査、遺産分割、相続税申告、登記、不動産売却までを、いつ、どの順番で進めるかを整理することです。
特に、相続税がかかるかわからない、遺産分割がまとまっていない、納税資金に不安があるといった場合は、早めに専門家へ相談することで、その後の手続きが進めやすくなります。みらいえ相続グループでは、相続税申告をはじめ、遺産整理や不動産に関する相続手続きまで、相続に関するご相談に幅広く対応しています。相続の期限や進め方に不安がある場合は、お早めにご相談ください。
みらいえ相続グループでは、仙台・東京を拠点に、相続の専門家が、対面やオンラインでのご相談にも対応しております。まずは、お気軽にご相談ください。
遺産分割がまとまらず、3年以内に通常の相続登記を行うことが難しい場合に利用できるのが、2024年4月に始まった「相続人申告登記」です。
相続人の一人と連絡が取れない、不動産を誰が取得するか決まらないといった場合に役立つ制度ですが、相続人申告登記をしたからといって、相続そのものや相続税の問題まで解決するわけではありません。

相続人申告登記とは
相続人申告登記は、自分が登記簿上の所有者の相続人であることなどを登記官へ申し出ることで、相続登記の申請義務に簡易的に対応できる制度です。遺産分割がまとまらず、通常の相続登記をすぐに行うことが難しい場合でも、期限内に申し出ることで、相続登記の申請義務に対応することができます。
ただし、この制度は、あくまで相続登記の申請義務に対応するために設けられた簡易な制度です。不動産について「誰が所有者なのか」という権利関係を確定し、それを登記簿上に公示する通常の相続登記そのものではありません。
確認.1
遺産分割後には通常の登記が必要
相続人申告登記を行っても、その後の遺産分割によって不動産を取得する人が決まった場合には、その内容に応じた通常の相続登記が必要になります。つまり、相続人申告登記をしたことで、その後の登記手続きまで完了するわけではありません。
不動産を売却したり、遺産分割の内容に沿って正式に所有者を登記したりするためには、別途、必要な相続登記を進める必要があります。なお、遺産分割によって不動産を取得した場合には、原則として遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容に応じた相続登記を申請する必要があります。
確認.2
相続税の期限は変わらない
相続人申告登記をしても、相続税の申告・納税期限が延びるわけではありません。相続税の申告が必要な場合は、原則として亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納税する必要があります。
遺産分割が終わっていなければ、相続税については未分割の問題がそのまま残ります。また、相続人申告登記を行っただけで、税務上も不動産の取得者や権利関係が確定したものとして扱われるわけではありません。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例との関係でも、最終的には遺産分割の成立と、その内容に応じた適切な申告・更正手続きが重要になります。「登記の手続きをしたから安心」と考え、相続税申告の準備が遅れないよう注意しましょう。
確認.3
登記だけでは解決しない
相続人申告登記は便利な制度ですが、あくまで相続登記の義務に対応するための方法です。
なぜ遺産分割が進んでいないのかを整理し、相続人同士の話し合いや、不動産の評価、取得者の決定、必要に応じて売却の検討など、その後の手続きを進める必要があります。相続は、「登記だけ」「税金だけ」と個別に考えても解決できないことが少なくありません。
確認.4
売却には準備が必要
相続人申告登記だけでは、不動産を自由に売却できる状態になるわけではありません。売却する場合には、必要に応じて遺産分割を行い、通常の相続登記をしたうえで、不動産の査定、境界や建物の確認、売却条件の整理、売買契約などを進める必要があります。
特に古い実家や土地では、未登記の建物や増築部分、境界などの問題が見つかることがあります。遺産分割が遅れるほど通常の相続登記も遅れ、その結果、不動産売却の準備も遅れる可能性があります。
確認.5
不動産の分け方も重要
不動産は、誰が取得するかによって、その後の管理や売却のしやすさが変わります。また、相続税や将来の譲渡所得税まで考えると、単純に法定相続分どおりに分けることが最適とは限りません。
誰が住むのか、将来売却するのか、そのまま保有するのか、二次相続まで考えるのかによって、適した分け方は変わります。遺産分割を決めてしまってから税務上の問題に気づくことがないよう、不動産の分け方を決める前に、税務面や将来の活用方法まで確認しておくことが大切です。
相続人申告登記は、期限内の申請義務へ対応するための有効な制度ですが、遺産分割や相続税、不動産の売却まで解決する制度ではありません。相続税の10か月という期限はそのまま進み、不動産を取得する人が決まれば、その後には通常の相続登記も必要になります。
「相続人申告登記をしたから大丈夫」と考えるのではなく、その後に必要となる遺産分割、税務、登記、不動産の活用まで見据えて進めることが重要です。みらいえ相続グループでは、相続に関する専門的な知識をもとに、相続税申告や遺産整理、不動産に関する手続きなどを総合的にサポートしています。「何から進めればよいかわからない」「相続人申告登記の後をどうすればよいかわからない」といった場合も、お気軽にご相談ください。
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相続では、「亡くなった親がどこに不動産を持っていたかわからない」というケースがあります。不動産は、預金通帳のように一つの資料だけですべてを把握できるとは限りません。
そこで、2026年2月2日から「所有不動産記録証明制度」が始まりました。亡くなった方が所有していた不動産を全国的に確認しやすくなる便利な制度ですが、この証明書だけですべての不動産が見つかるとは限りません。

所有不動産記録証明制度とは
所有不動産記録証明制度は、特定の人が所有権の登記名義人となっている不動産を検索し、一覧で証明する制度です。これまで地域ごとに確認する必要があった不動産を把握しやすくなり、相続人にとって不動産調査の負担を軽減する有用な制度です。
ただし、この制度は、基本的に所有権の登記がされている不動産を検索する仕組みです。そのため、「所有不動産記録証明書に載っていない=他に不動産はない」とは限りません。
要点.1
未登記の不動産
検索対象となるのは、原則として所有権の登記がされている不動産です。そのため、所有権登記がされていない不動産は、検索結果に出ない場合があります。
特に、古い建物や物置、車庫、離れ、増築部分などが長年未登記のまま残っているケースには注意が必要です。所有不動産記録証明書に記載されていなくても、実際には相続の対象となる建物などが存在している可能性があります。
要点.2
未登記建物は表題登記にも注意
建物を新築した場合や、登記のない建物の所有権を取得した場合には、原則として取得日から1か月以内に建物表題登記を申請する必要があります。
古い実家などでは、建物そのものや増築部分が登記されていないケースもあります。こうした未登記建物は、所有不動産記録証明制度だけでは把握しきれない可能性があるため、現地の建物と登記記録が一致しているか確認することも重要です。
要点.3
氏名や住所の違い
検索条件となる氏名や住所などが、実際の登記記録と一致していない場合、不動産が検索結果に出ない可能性があります。長年住所変更の登記をしていなかった場合や、過去の氏名で登記されている場合などには注意が必要です。
現在の氏名や住所だけで判断せず、必要に応じて過去の氏名や住所についても確認することが大切です。
要点.4
古い登記簿
登記簿がコンピュータ化されていない不動産についても、検索結果に抽出されない可能性があります。特に古い不動産や、長期間登記手続きが行われていない不動産では注意が必要です。
「証明書に載っていないから、不動産はこれですべて」と判断するのではなく、他の資料と照らし合わせながら確認しましょう。
要点.5
先代名義の不動産
父が長年使っていた土地でも、登記名義が祖父や曾祖父など先代のまま残っている場合があります。この場合、父の名前で所有不動産記録証明制度を利用しても、その土地は父名義の不動産として表示されません。
実際に誰が使用・管理していたかと、登記簿上の名義人が一致しているとは限りません。古い実家や代々受け継がれてきた土地がある場合は、特に注意が必要です。
要点.6
名寄帳や課税明細書なども確認する
不動産を調査する際は、所有不動産記録証明書だけに依存しないことが重要です。固定資産税の課税明細書や名寄帳、権利証、登記事項証明書、過去の相続資料などもあわせて確認するとよいでしょう。
複数の資料を照らし合わせて確認することで、不動産の見落としを防ぎやすくなります。
要点.7
見落とすと追加納税も
相続税を申告した後に、新たな土地や建物が見つかることもあります。その不動産を相続財産に加えることで相続税額が増える場合には、修正申告や追加納税が必要になる可能性があります。状況によっては、過少申告加算税や延滞税など、当初の相続税以外の負担が生じる場合もあります。
「知らなかった不動産だったから問題ない」とは限りません。こうした事態を防ぐためにも、相続の初期段階で財産をできる限り漏れなく調査することが大切です。
要点.8
実家を売る場合も注意
相続した実家を売却する場合、一定の要件を満たせば、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの3,000万円特別控除」を利用できる可能性があります。これは、一定の要件を満たした被相続人の家屋やその敷地を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。
ただし、この特例には期限があります。要件の一つとして、原則として、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することが必要です。たとえば、「相続登記は3年以内だから、3年後に売却を考えればよい」という進め方をすると、遺産分割や登記、売却準備に時間がかかり、特例の期限に間に合わなくなる可能性があります。
要点.9
特例を逃すと税負担が変わる可能性も
空き家の3,000万円特別控除を利用できるかどうかによって、不動産売却時の譲渡所得に対する税負担が大きく変わる可能性があります。遺産分割や相続登記が長引き、売却や引渡しが期限に間に合わなくなると、本来利用できた可能性のある特例を使えなくなることもあります。
また、売却時期だけでなく、建物の築年数、利用状況、売却金額など複数の要件があります。2024年1月1日以後の譲渡では、被相続人居住用家屋やその敷地等を相続または遺贈により取得した相続人が3人以上の場合、控除額の上限は一人当たり2,000万円となります。実家を売却する予定がある場合は、売却後に確認するのではなく、相続が始まった早い段階で特例の対象となる可能性を確認しておくことが重要です。
要点.10
売却準備は早めに
遺産分割や相続登記が遅れると、不動産の売却準備も遅れる可能性があります。特に古い実家では、未登記の増築部分や土地の境界、残置物、建物の状態など、売却前に対応が必要な問題が見つかることがあります。その問題を確認してから、測量や登記、解体、残置物の処分などが必要になる場合には、さらに時間がかかります。
売却を考えている場合は、相続登記が終わってから動き始めるのではなく、遺産分割や相続税申告と並行して、早い段階から準備を始めることが大切です。
相続した不動産は、「評価する」「分ける」「登記する」「売る」という一連の流れで考えることが重要です。所有不動産記録証明制度は便利ですが、すべての不動産を把握できるとは限らず、財産調査の不足が相続税の申告漏れや、その後の売却の遅れにつながることもあります。
不動産が複数ある、古い実家や先代名義の土地がある、相続後に売却を検討しているといった場合は、税務だけでなく不動産の調査や売却まで含めて早めに専門家へ相談することが大切です。みらいえ相続グループでは、相続税申告から遺産整理、不動産に関する相続手続き・売却まで、相続に関するさまざまなご相談に対応しています。不動産の把握や相続後の活用方法でお困りの場合も、お気軽にご相談ください。
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