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仙台の実家を売却する!不動産相続の基礎知識。

相続不動産

佐藤 智春

実家の相続で考えるべきこと

「両親が亡くなり実家を相続したものの、遠方に住んでおり地元へ戻る予定はない。相続した実家を今後どうすべきか悩んでいる。」みらいえ相続グループにも、このようなご相談はしばしば寄せられます。宮城や仙台は東北地方の中心都市である一方、郊外には昭和に開発された住宅地も多く残っています。実家を相続した後、「住む予定はないが、すぐに売却する決断もできない」「兄弟姉妹との話し合いが思うように進まない」「相続や不動産、税金の手続きが難しそうで、つい後回しにしてしまった」といった状況に陥る方も決して珍しくありません。

しかし、相続した実家は、何もせずに放置すると負担やリスクを生む可能性がある、非常にデリケートな資産です。実際に住んでいなくても固定資産税は毎年課税され、建物は人が住まないことで急速に老朽化します。さらに、管理の手間や維持コストは年々増加していきます。本記事では、相続した実家の売却に関する基礎知識をはじめ、売却前に知っておきたいポイント、親族間で起こりやすいトラブル、放置することによるリスクなどを整理し、後悔しないための考え方を分かりやすく解説します。

 


 

相続した実家の基礎知識とトラブル

相続した実家は、すぐに売却できるというわけではありません。実家の売却には、法律上の前提条件や、相続人同士の合意形成といった重要なポイントがあります。まずは、相続不動産の基本と、実際によく起こるトラブルなどを解説していきます。

相続した実家は、共有状態になる
相続が発生すると、遺産分割が完了するまでの間、不動産は相続人全員の「共有状態」として扱われます。この「共有状態」とは、法律上の権利関係のことであり、名義が自動的に相続人へ変更されるわけではありません。

たとえば、相続人が兄弟3人の場合、遺産分割協議が終わるまでは、実家は3人全員の共有財産となります。そのため、誰が住むのか、誰が管理するのか、売却するのかといった重要な判断は、相続人のうち誰か一人が単独で決めることはできず、原則として相続人全員の合意が必要になります。

なお、実家を第三者に売却するためには、遺産分割協議で取得者を決めたうえで、相続登記(名義変更)を行うことが必須です。被相続人名義のままでは、売却手続きを進めることはできません。
出典元|民法第898条「共同相続の効力」

 


 

相続登記とは?
相続登記とは、亡くなった方(被相続人)名義の不動産を、相続人名義へ変更する手続きのことです。不動産は相続が発生した時点で相続人のものになりますが、登記をしなければ第三者に対して権利を主張できず、売却もできません。相続した不動産を売却するには、原則として事前に相続登記を済ませる必要があります。なお、2024年4月1日の法改正により、相続登記の申請が義務化されました。正当な理由なく、不動産の相続を知った日から3年以内に申請を怠ったときは、過料に処せられる可能性があります。
出典元|法務局「相続登記の義務化」

相続登記をしないと起こるトラブル
実家を売却できない
金融機関の手続きが進まない
次の相続が発生した際、さらに複雑化する
「まだ売るか決めていないから登記しなくていい」と考えてしまいがちですが、売却を視野に入れるなら最優先で行うべき手続きです。

 


 

遺産分割協議とは?
遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を話し合う手続きです。不動産は法定相続分どおり自動で分割されるわけではないため、「誰が取得するのか」「売却して現金で分けるのか」などを決める必要があります。相続不動産を売却する場合も、相続人全員の合意を得て遺産分割協議書を作成しなければ、売却手続きは進められません。協議がまとまらないと、売却や活用が長期間できなくなるリスクがあります。

遺産分割協議でよくあるトラブル
財産の取り扱いで意見が割れる
兄弟姉妹と連絡が取れない
売却後の分配方法で揉める
特に、相続人の一部が遠方に住んでいる場合、話し合いの機会そのものが作れず、時間だけが過ぎてしまうケースも少なくありません。

 


 

実家を放置するリスク
「とりあえず今は何もしない」という選択は、最もリスクが高い選択でもあります。適切に管理されていない空き家が「特定空家等」や「管理不全空家」として自治体から勧告を受けると、住宅用地の特例(軽減措置)の対象から外れます。その結果、固定資産税の負担が最大で6倍に跳ね上がる可能性があるため、注意が必要です。
出典元|国土交通省「空家対策上の措置」

固定資産税・都市計画税の負担
建物の急速な老朽化
雑草・害獣・不法投棄などの近隣トラブル
管理不十分による損害賠償リスク

 


 

遠方にいる相続人ほど注意が必要で、遠方に住んでいると、劣化に気づくのが遅れる、近隣からの苦情にすぐに対応できない、といった問題が起こりやすく、「気づいたときには売却しにくい状態になっていた」という相談も珍しくありません。

また、相続した実家の売却には、相続登記、遺産分割協議、不動産売却という、複数の専門分野が関わります。
みらいえ相続グループでは、相続不動産を専門に扱うチームが、売却前の整理や方向性の検討などからサポートいたします。まだ売るか決めていない、兄弟とどう話せばよいか分からない、何から手を付ければよいか分からない、このような段階でも早めに専門家へ相談することが、失敗しない実家の売却への第一歩です。

関連記事|みらいえ相続グループの強み
関連資料|不動産相続がわかるロードマップ(PDF)

 


 

みらいえ相続グループでは、東京・仙台を拠点に、相続の専門家が、対面やオンラインでのご相談にも対応しております。まずは、お気軽にご相談ください。


 


 

実家を売却する際の流れとポイント

実家を売りたいと考えていても、遠方に住んでいるために時間が取れず、なかなか実行に移せないという方は少なくありません。しかし実際には、不動産会社とのやり取りや各種手続きを、現地に頻繁に足を運ばなくても進められるため、遠方に住んでいても実家の売却は可能です。

そのうえで重要なのは、税金や相続など全体の流れを正しく理解し、地域の不動産事情に詳しい専門家をパートナーとして選ぶことです。ここでは、実家を売却する具体的な流れと、遠方に住む相続人が注意すべきポイントについて、詳しく解説します。

相続した実家を売却する流れ
一見すると複雑に感じるかもしれませんが、大きく分けると次のステップに分けられます。すでに相続が完了している場合でも、「相続登記が終わっていない」「兄弟間の合意が曖昧」というケースは多く、売却の前に整理すべきポイントが残っていることも珍しくありません。

相続人の確定・遺産分割協議
相続登記(名義変更)
実家の現状確認・売却方針の整理
不動産会社への査定依頼
媒介契約の締結
売却活動(販売・内覧)
売買契約の締結
決済・引き渡し
確定申告(必要な場合)

 


 

不動産会社を選ぶ際のポイント
実家の売却において、もっとも重要なのが不動産会社選びです。特に相続した実家の場合、一般的な住宅の売却とは異なる視点が必要になります。不動産は「動かせない資産」です。そのため、地域の特性、過去の取引事例、エリアごとの需要の違いなどを理解しているかどうかが、売却価格や期間に影響します。

例えば、仙台市内でも、中心部・駅近、郊外住宅地、再建築不可の土地、古い団地など、エリアによって売り方は大きく異なります。相続した実家は、築30年以上、リフォーム履歴なし、家財が残っているといったケースも多く、相続不動産に不慣れな会社では、適切な提案ができないこともあります。

 


 

売却タイミングは、相続前か相続後か
実家売却で多くの方が悩むのが、「相続前に売るべきか」「相続後に売るべきか」という点です。この判断には、相続税、譲渡所得税という2つの税金が大きく関わります。

 


 

相続前に売却する場合
相続前の売却とは、親が存命中に実家を売却するケースです。

相続前売却のメリット
遺産分割がスムーズになり、トラブルを防止できる
老後資金や介護費用に充当できる
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が使えると税負担を軽減できる
譲渡所得が発生する場合でも、この特例を使うことで、税負担を抑えられるケースがあります。
出典元|国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

相続前売却の注意点
一方で、実家を現金化すると、その現金が相続財産となるため、相続税が増える可能性がある点には注意が必要です。税金だけで判断するのではなく、親御さんの意向や今後の住まいも踏まえて検討することが大切です。

 


 

相続後に売却する場合
相続後の売却は、実家を不動産のまま相続してから売却するケースです。

相続後売却のメリット
不動産は評価額で相続税が計算される
時価より低い評価額になることが多く、相続税を抑えられる可能性
相続空き家の3,000万円特別控除が使える場合がある
また、「取得費加算の特例」を使えば、相続税の一部を取得費に加算し、譲渡所得税を軽減できるケースもあります。
出典元|国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
出典元|国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

相続後売却の注意点
相続後に売却する場合、売却には相続人全員の同意が必要です。不動産は現金と違い分割しにくいため、事前に遺産分割の方針を整理しておかないと、売却そのものが進まなくなる可能性があります。

 


 

実家を売却する際に使える特例
実家売却では、特例を知っているかどうかで、手元に残る金額が大きく変わります。特例は併用できないケースもあるため、どの特例を使うべきかの判断が重要になります。

被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除
相続により取得した実家を売却する際、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。被相続人が一人暮らしであったこと、建物が昭和56年5月31日以前に建築されていること、相続後に空き家のまま売却することなど、要件は細かく定められています。耐震改修や建物解体が必要となる場合もあり、売却前の事前確認が不可欠です。
出典元|国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

取得費加算の特例
相続税を支払っている場合、納付した相続税の一部を不動産の取得費に加算できる特例です。取得費が増えることで譲渡所得が圧縮され、結果として譲渡所得税を軽減できる可能性があります。相続空き家の3,000万円特別控除が使えない場合の有効な選択肢ですが、小規模宅地等の特例と併用すると効果が小さくなることもあるため注意が必要です。
出典元|国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

小規模宅地等の特例
相続税の計算において、居住用宅地であれば一定の要件を満たすことで、最大330㎡まで土地の評価額を80%減額できる特例です。実家の相続では相続税負担を大きく軽減できる重要な制度ですが、相続人の居住状況や売却のタイミングによって適用可否が分かれます。判断が難しく、専門家による検討が欠かせません。
出典元|国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

 


 

実家の売却は、不動産だけでなく、相続や税金が複雑に関わるため、判断を誤ると思わぬ損失につながることもあります。特に遠方にお住まいの場合は、情報収集や手続きの負担も大きくなりがちです。

大切なのは、全体の流れを把握したうえで、地域事情と相続実務に精通した専門家に早めに相談することです。みらいえ相続グループでは、相続不動産を専門とするチームが、地域の実情を踏まえ、実家売却をトータルでサポートしています。

関連記事|みらいえ相続が選ばれる理由
関連資料|不動産相続がわかるロードマップ(PDF)

 


 

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売却した実家に関する税金と仕組み

相続した実家を売却したあと、「思った以上に税金がかかった」「もっと早く知っていれば対策できたのに」と後悔する方も少なくありません。実家の相続では、売却そのものよりも税金対策などが失敗しやすいポイントです。ここでは、相続した実家を売却するときに必ず押さえておきたい税金の仕組みなどを分かりやすく解説します。

実家の相続・売却に関係する主な税金
相続した実家を売却する際に関係する税金は、大きく分けて次の4つです。それぞれの役割を理解しておくことが、不要な負担を避ける第一歩になります。

相続税
譲渡所得税
印紙税
登録免許税

 


 

相続税
相続税は、相続が発生したすべての人に課税されるわけではありません。相続税には「基礎控除」が設けられており、遺産総額が、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)を超えた場合にのみ課税対象となります。たとえば相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円です。この金額以下であれば、相続税はかかりません。課税対象となる場合でも、遺産の分け方や特例の活用によって税額が大きく変わるため、事前の検討が重要です。
出典元|国税庁「No.4152 相続税の計算」

譲渡所得税
譲渡所得税とは、不動産を売却して得た「利益(譲渡所得)」に対して課税される税金です。譲渡所得は、売却価格 −(取得費+譲渡費用)という計算式で算出されます。取得費には購入代金や購入時の諸費用、譲渡費用には仲介手数料などが含まれます。この譲渡所得に対し、所得税・住民税・復興特別所得税が課税されます。保有期間によって税率が変わる点も大きな特徴です。
出典元|国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
出典元|国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」

印紙税
印紙税は、不動産売買契約書などの「課税文書」を作成した際に課される税金です。実家を売却する場合、売買契約書に記載された契約金額に応じて、所定の金額の収入印紙を貼付し、消印することで納税します。契約金額が高くなるほど印紙税額も増えますが、一定期間は軽減措置が適用されることもあります。売買契約書を複数作成する場合は、それぞれに印紙が必要となる点に注意が必要です。
出典元|国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」

登録免許税
登録免許税は、不動産の登記を行う際にかかる税金です。実家売却においては、抵当権抹消登記や所有権移転登記などで発生します。登記の種類ごとに税率や税額が定められており、司法書士報酬とは別に納付が必要です。売却手続きの中で必ず発生する費用の一つであり、あらかじめ必要額を把握しておくことで、資金計画を立てやすくなります。
出典元|国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」

 


 

相続した実家の売却では、「売れた後」に発生する税金まで見据えて行動できるかどうかが、満足度を大きく左右します。相続税・譲渡所得税・各種費用は、それぞれ計算方法や特例が異なり、組み合わせ次第で負担額に大きな差が生じます。自己判断で進めると、本来使えた特例を逃してしまうことも少なくありません。

実家売却を検討する際は、早い段階で相続と不動産に精通した専門家へ相談し、全体を見据えた判断を行うことが、後悔しないための近道といえるでしょう。

関連記事|相続専門税理士・佐藤智春とは?
関連資料|不動産相続がわかるロードマップ(PDF)

 


 

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AIや比較サイト、国税OBの肩書きなどで、税理士を選んでいませんか?

相続の税理士選びは「どこに相談するか」がとても大切です。

最近では、ChatGPTなどのAI情報や税理士の比較サイトを参考に、相談先を決める方が増えています。また、国税出身・国税OBなどの肩書きに安心感を持つ方も少なくありません。

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実家の売却は早めのご相談を

実家の売却を検討することは、管理や負担を整理し、次の世代に問題を残さないための大切な選択です。実家を相続すると、相続登記、遺産分割協議、不動産の売却判断、税金や空き家の問題など、複数の課題に向き合う必要があります。

これらをすべて一人で解決しようとすると、時間的にも精神的にも大きな負担となります。特に、相続人が複数いる場合や、実家から離れて暮らしている場合、税金や手続きがよく分からない場合には、「何から手を付ければよいのか分からない」状態に陥ることも少なくありません。

相続した実家の売却は、一般的な不動産売却とは異なり、相続・税金・登記・不動産といった複数の専門分野が密接に関係します。みらいえ相続グループでは、税理士・行政書士・宅地建物取引士などが連携し、相続不動産に特化した体制で実家の売却をサポートしています。実家の売却でお悩みの方は、ぜひ一度、みらいえ相続グループへご相談ください。

 


 

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[監修]

佐藤 智春代表 税理士・行政書士

経歴:仙台大原簿記専門学校卒業後、宮城県で最年少税理士登録。20年以上の実務経験を持ち相続専門税理士として数多くの案件を手がける。(2024年相続税申告実績/222件) 相続専門税理士佐藤智春は税理士の日(2月23日)に産まれ、二次相続はもちろん、三次相続までサポートできます。多くの案件をこなしているからこそ三次相続まで見据えた遺産の分け方を提案しています。

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