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ドラマ「相続探偵」を見る③ペットに遺産相続?人以外に相続する方法。

遺言

佐藤 智春

遺産相続ドラマ「相続探偵」第3話が放送されました。

日本テレビ系で放送中の遺産相続ドラマ「相続探偵」の第3話が放送されました。遺産相続専門の探偵、灰江七生(はいえなお)役を演じる赤楚衛二さんの個性豊かな演技に、毎回目が離せません。

赤楚さんは俳優業だけでなく、モデルやタレントとしても活躍してきました。10代の頃からモデルやタレントとして活動を開始し、2013年にはサマンサタバサのメンズモデルオーディションでグランプリを受賞。

俳優としては、2017年に「仮面ライダーアマゾンズ」および「仮面ライダービルド」の2作品で仮面ライダー役を演じ、大きな注目を浴びました。その後も活躍の幅を広げ、2022年にはNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』や、話題のドラマ『風間公親-教場0-』などに出演し、多くのファンを魅了しました。

今回は、赤楚さん演じる灰江がどんな活躍を見せてくれるのか、相続に関わる内容も交えながら詳しく解説していきます。

 


 

第3話「マリーアントワネットの相続」のあらすじ

相続専門の探偵として、これまで数々の事件を解決してきた灰江七生(通称ハイエナ)。考え事をするときには、決まってコーヒー豆をボリボリとかじるほどのコーヒー好きという一面も持っています。

そんな灰江のコーヒー仲間でもある将棋道具店の店主・加藤香車(でんでん)。彼の突然の訃報から、今回の物語は幕を開けます。

加藤には、近所の猫カフェから譲り受けた猫・まり坊がいました。そして、親しくしていた猫カフェの店主・ソフィ、加藤の愛猫まり坊、さらに長らく疎遠だった息子の登場。波乱の展開を予感させる人物たちが集まり、物語は大きく動き出します。

 


 

ポイント① 遺言書を勝手に開封してはいけません。

第3話の序盤、数日前まで灰江と共にコーヒーを飲みながら将棋を楽しんでいた加藤。その突然の訃報に、灰江たちは大きなショックを受けながらも、通夜に出席します。そこに現れたのは、長年疎遠だった加藤の一人息子・加藤金斗(和田聰宏)。

さらに、加藤の自宅からは遺言書が発見されます。誰もが遺産は一人息子の金斗が相続するものと思っていましたが、遺言書には驚くべき内容が記されていました。そこには「すべての財産をマリーアントワネット様に遺贈します」という衝撃的な一文が書かれているのでした。

視聴者の疑問「遺言書は発見者がすぐに開封していいの?」
専門家の回答「開封前に裁判所で検認手続きが必要です。」

故人の手書きによる遺言書(自筆証書遺言)が家族によって発見されることは珍しくありません。それでは、見つけた遺言書はどのように取り扱うのが正しいのでしょうか。

まず必ず守るべきことは、遺言書を発見した場合、発見者は勝手に開封してはいけないという点です。

自筆証書遺言は、開封前に家庭裁判所で「検認」という手続きを受ける必要があります。
検認を受けずに、遺言書を開封したり破棄した場合、罰金や懲役などのペナルティが科される可能性があるため注意が必要です。

検認とは
家庭裁判所が遺言書の内容や状態を確認し適切に保存するための手続きです。
自筆証書遺言が発見された際、発見者が意図的に内容を改ざんしたり、破棄したりするリスクがあります。こうしたトラブルを防ぐため、相続人が家庭裁判所に集まり、遺言書の内容や状態を確認し、状態を保存します。
検認が完了すると、家庭裁判所から「検認済証明書」が発行され、「正式に裁判所で検認を受けた遺言書」であることが証明されます。

ただし、公正証書遺言の場合や、法務局で保管された自筆証書遺言(2020年7月10日以降に導入された制度)の場合は検認は不要です。

 


 

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ポイント② 認知症でも遺言能力があれば有効です。

第3話の中盤、加藤が財産を歴史上の人物に相続すると遺言したことに対し、親族たちは故人が認知症などの疾患を患っていたのではないかと疑います。しかし、遺言書を確認した灰江は、そのしっかりとした記載内容や生前の加藤の言動を踏まえ、単純に無効とは言い切れないと指摘します。

では、加藤はなぜこのような遺言を残したのでしょうか。そこに何か隠された意図があるのではないかと感じた灰江は、相続探偵としての勘を働かせ、真相を追い求めます。果たして、彼がたどり着く真実とは何なのでしょうか。

視聴者の疑問「認知症を患っていた故人の遺言書は無効なの?」
専門家の回答「故人が認知症でも遺言能力があれば有効です。」

ドラマ本編ではあまり触れられていませんが、故人が高齢の場合、認知症やその他の疾患によって、残された遺言書の信憑性が問われることがあります。しかし、結論としては、認知症だからといって遺言書が必ず無効になるわけではありません。

ここで重要となるのが「遺言能力」の有無です。では、「遺言能力」とは何を意味するのでしょうか。

遺言能力とは
遺言能力とは、有効な遺言を作成するために必要な判断能力のことを指します。
民法では、満15歳以上であれば遺言を作成できると規定されています(民法961条)。
ただし、遺言者が認知症や精神障害などにより正常な判断能力を欠いていた場合、その遺言は無効とされる可能性があります。
具体的には、遺言を作成した時点で自身の財産状況や遺言内容を理解し、合理的な判断ができるかが重要なポイントになります。
遺言の有効性が問われるケースは、遺言者の健康状態や認知能力についての医療記録、診断書、証言などが重要証拠となります。

そのため、認知症の疑いがある場合や遺言の内容が不自然な場合、相続人同士でトラブルになることも少なくありません。また、公正証書遺言の場合、公証人が遺言者の判断能力を確認した上で作成されるため、遺言能力に関する争いが起こりにくいというメリットがあります。

 


 

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ポイント③ ペットには直接的な相続はできません。

第3話の終盤、灰江のパートナーである朝永(矢本悠馬)の調査により、加藤が「まる坊」と呼んで可愛がっていた猫の首輪に「マリーアントワネット」と記載されていることが判明します。まさか、遺言書に記された「マリーアントワネット」とは、この猫のことだったのかと驚く一同。しかし、灰江は「法的には難しくても、実質的な対応は可能だ」と説明します。

加藤の遺言が持つ本当の意味、そして不可解な遺言書の意図とは何なのか。ペットへの相続という前例の少ないケースを前に、灰江たちはどのように解決へと導くのか。物語は、さらに予測不能な展開を迎えます。

視聴者の疑問「ペットに遺産相続することはできるの?」
専門家の回答「人以外に遺産相続することはできません。」

ペットは日本の法律上「物」として扱われるため、土地や建物と同様に財産の一つとして遺産分割の対象となります。そのため、ペットを相続人として遺産相続することは、もちろんできません。

しかし、飼い主の死後にペットの世話を引き継ぐ方に対し、必要な費用などを相続で引き継ぐことは可能です。
このように、ペットの世話を条件として財産を譲ることを「負担付遺贈」といいます。

負担付遺贈とは
受遺者(遺贈を受ける人)に対して、一定の義務や条件を課した上で財産を譲る遺贈のことを指します。

もし故人が生前にペットの世話をする人を決めていなかった場合、相続人全員で協議し、誰がペットの世話を引き継ぐのかを遺産分割協議で決定します。
また、ペットの世話を任せられる相続人がいない場合は、信頼できる第三者に依頼することも可能です。

大切なペットを守る相続方法

 


 

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第3話「マリーアントワネットの相続」の感想

問題の真相に迫るため奔走する灰江と仲間たち。そんな中、加藤のコーヒーコレクションの中にある古びたコーヒー缶に目を留めます。缶の中には、若き日の加藤と、一人の外国人が並ぶ写真が収められていました。

何かにピンと来たパートナーの朝永は、加藤が生前親しくしていた猫カフェのソフィに本名や家族のことを尋ねます。そして、ソフィの母親こそが、加藤のコーヒー缶に写っていた人物であることにたどり着きます。彼女の名前は「マリーアントワネット」。

加藤は、生前結ばれることのなかったマリーが続けていた保護猫活動を、匿名で支援し続けていました。お金に余裕のある息子ではなく、マリーの活動を支えることこそが、加藤の本当の願いだったのです。

こうして、加藤の遺志が明らかになり、マリーと金斗の間にあったわだかまりも少しずつ解けていきます。空を見上げる灰江。そして、金斗に向けて「親孝行、したいときに親はなし……僕も同感ですよ」という意味深な言葉を残し、物語は第4話へと続きます。

今回は、実在しない歴史上の人物への遺贈やペットへの相続といった、一般的なケースとは異なる相続がテーマとなっていました。

また「遺言書は愛する人へ出す最期の手紙」や「遺言書は生きている人へのラブレター」など、ドラマの中で印象的なセリフがいくつかありました。

遺言書には、故人の生前の想いが込められており、そのメッセージを正しく読み解き、適切に相続することが大切です。しかし、それを円滑に進めるためにも、生前にしっかりと相続対策をしておくことをおすすめします。

相続トラブルを未然に防ぐための方法

 


 

遺言書は公正証書遺言をおすすめします。

前述の通り、手書きの遺言書(自筆証書遺言)の場合、家庭裁判所での検認手続きが必要となります。この手続きには時間と費用がかかるうえ、原則として相続人全員の立ち会いが求められるため、相続手続きの負担が大きくなることも少なくありません。

そのため、相続後に相続人がスムーズに手続きを進められるよう、みらいえ相続グループでは、公正証書遺言の作成をおすすめしております。

自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらがいいの?(動画解説)

 


 

遺言書の取り扱いや手続きには、専門的な知識が求められる場合も少なくありません。適切に対応し後々のトラブルを防ぐためにも、相続の専門家が在籍する、みらいえ相続グループへお気軽にご相談ください。

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[監修]

佐藤 智春代表 税理士・行政書士

経歴:仙台大原簿記専門学校卒業後、宮城県で最年少税理士登録。20年以上の実務経験を持ち相続専門税理士として数多くの案件を手がける。(2024年相続税申告実績/222件) 相続専門税理士佐藤智春は税理士の日(2月23日)に産まれ、二次相続はもちろん、三次相続までサポートできます。多くの案件をこなしているからこそ三次相続まで見据えた遺産の分け方を提案しています。

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