相続税申告
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一般のお客様から相続サポートしている人まで幅広く役立つ相続に関する知識をわかりやすくご紹介しています。
佐藤 智春
生命保険を相続する際、金額面で多く心配されるのが税金についてです。
「そもそも生命保険は税金の対象になるのか」「どれくらいの額が手元に残るのか」など、今後の生活のことも考えて不安を感じる方も多くいます。
そこでこの記事では、生命保険の相続税について詳しく深掘りしていきます。
この記事を読むことで、相続できる金額に検討がつき、将来への心配や負担を減らしやすくなります。
後半では3つの相続税対策についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
「生命保険は相続税の対象になるのかどうか」という疑問を持っている方は多くいますが、結論としては対象になる場合とならない場合があります。
まず前提として、生命保険金は「みなし相続財産」として扱われます。
みなし相続財産とは、「民法上相続・取得した財産ではないものの、相続税法で相続財産として扱う財産のこと」です。
つまり、みなし相続財産である生命保険金は、相続税法で相続税の課税対象となります。
ただし、相続税には非課税枠があるため、金額によっては相続税の対象にならない場合もあります。
保険金の金額や法定相続人の人数などによって異なるため、具体的な税金や計算をもとに確認していきましょう。
参照URL:相続税の課税対象になる死亡保険金|国税庁
生命保険の相続にかかる税金は、相続税だけではありません。
保険の契約の仕方によって、以下の3つの税金に分類されます。
複数の税金が重複することはなく、必ずこの3つのどれか1つに当てはまります。
具体例をもとに順番に解説していくので、ご自身のケースがどの税金に該当するのかを確認してみてください。
〈死亡保険金の課税関係の表〉
被保険者 | 保険の負担者 | 保険受取人 | 税金の種類 |
---|---|---|---|
A | A | B | 相続税 |
A | B | B | 所得税 |
A | B | C | 贈与税 |
生命保険の負担を被保険者本人がしていた場合は、相続税がかかります。
具体例としては、被保険者と保険料負担者が父で、保険受取人が母(もしくは子)のようなケースです。
この場合は、被保険者本人が生命保険の負担をしているため、財産を相続するという扱いになります。
相続税の場合は非課税枠があるため、納税額を比較的安く済ませることができます。
そのため、少しでも多くの金額を残すためには、被保険者と保険料負担者を同じ人物にしておくことがポイントです。
生命保険の負担を保険受取人がしていた場合は、所得税がかかります。
具体例としては、被保険者が父、保険料負担者と保険受取人が母(もしくは子)のようなケースです。
この場合、保険料負担者が保険金を受け取るため、財産の所得という扱いになります。
被保険者がどなたであっても、保険料負担者本人が自分で支払って保険金を受け取るという構図は変わらず、所得税が課税されます。
また、死亡保険金の受取の方法によって所得の種類も変わるため、受け取る前に確認しておくことが重要です。
それぞれ差し引かれる金額・方法が異なるため、注意しておきましょう。
生命保険の被保険者・保険料負担者・保険受取人が全て異なる場合は、贈与税がかかります。
具体例としては、被保険者は父、保険料負担者が母、保険受取人が子のようなケースです。
この場合、保険料負担者と保険受取人が異なる人物のため、財産の贈与という扱いになります。
受け取った死亡保険金が非課税枠110万を超える場合は受け取った翌年に贈与税を申告しなければなりません。受け取る前に確認しておきましょう。
ご自身が加入されている保険がどのケースに当てはまるのかによって、納税の仕組みや税金対策も異なります。
生命保険を相続する際、相続税にのみ非課税枠というものが用意されています。
「死亡保険金の金額のうちの、非課税枠までは税金がかからない」という仕組みです。
相続税の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」となっており、法定相続人が2人であれば1,000万円、3人であれば1,500万円までは相続税がかかりません。
ただし、法定相続人以外の人物が死亡保険金を受け取った場合は、相続税の非課税枠は適用されないので注意が必要です。
保険金受取人や遺産総額次第では相続税が課税される場合もあるので、それらを踏まえたうえで財産を管理していきましょう。
相続財産を引き継ぐ際、非課税枠とは別で基礎控除額というものがあります。
死亡保険金を合わせた全ての相続財産から基礎控除額を差し引き、そこで残った金額に対して相続税が課税されるので、相続税対策として効果的です。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算することができます。
もし仮に法定相続人が3人だった場合、基礎控除額は4,800万円となり、課税遺産対象から4,800万円を差し引くことが可能です。
つまり、課税遺産対象が基礎控除額の金額を超えなければ、相続税自体がかからないということになります。
相続税を少しでも節税するためにも、基礎控除額は必ず利用しましょう。
基礎控除額について理解したうえで、相続税の具体的な計算方法について解説していきます。
具体的な手順としては、以下の4つになります。
1~3の手順については上記の文章を参考に、4の相続税の計算は下記の表を参考にしてください。
〈相続税の速算表〉
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | – |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
引用:相続税の税率|国税庁
相続税は「課税遺産総額×税率−控除額」という計算で算出することができます。
仮に課税遺産総額が1億円であった場合は、1億円×30%−700万円となり、相続税の総額は2,300万円となります。
最終的な取得金額は、1億円から2,300万円を差し引いた7,700万円となるため、上記の手順や表をもとに計算してみましょう。
生命保険は生前対策に大変有効です。
相続税対策をしている方としていない方では、最終的な取得金額に大きな差が生まれてしまいます。
相続税を少しでも安く済ませるためにも、以下の3つの対策を必ず押さえておきましょう。
生命保険は民法上の相続財産ではないため、受取人固有の財産となります。
そのため、遺産分割協議の対象外となり、単独で手続き・受け取りを進めることができます。
相続争いを防ぎ、確実に財産を渡すことができるため、受取人を指定しておくことは前提として重要です。
また、夫婦間の相続では配偶者の軽減税率という制度があるので、非課税を有効的に活用するのであれば子どもに受け取ってもらうのがおすすめです。
このように受取人によって税負担が異なる場合もあるので、事前に税負担が軽くなる受取人を指定しておきましょう。
先ほども紹介した通り、生命保険の相続では相続税の非課税枠や基礎控除などがあります。
相続税の負担を少しでも軽くするためにも、これらのような課税遺産総額を減らせる制度は積極的に利用していきましょう。
法定相続人が3人だった場合、非課税枠で1,500万円、基礎控除で4,800万円を差し引くことができます。
このケースだと合計で5,000万円以上差し引くことができるため、より多くの金額を相続・取得できます。
課税遺産対象の金額と法定相続人の人数次第では、相続税が0円になるケースもあるため、これらのような制度は必ず活用していきましょう。
相続税は、原則現金で納税するように定められているため、相続した現金とその時の預金のみで納税する必要があります。
もし仮に相続する財産の多くが不動産だった場合、売却に多くの時間がかかるため、納税する期限までに間に合わない可能性も出てきてしまいます。
そのようなケースを防ぐためにも、生命保険に加入し、いざという時に充分な現金を用意できるようにしましょう。
相続税の金額だけに注目するのではなく、実際の手続きの流れなども確認しておくことも相続税対策の1つです。
この記事では、生命保険の相続税に関して様々な観点から解説してきました。
これらの情報を活用することで、相続税はいくらかかるのか、取得金額はいくら残るかなどが計算できるようになります。
将来への心配や不安を少しでも減らすためにも、この記事を参考にぜひ計算してみてください。
相続税対策を徹底して、よりスムーズに手続きを進めていきましょう。
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