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ドラマ「相続探偵」を見る④愛人の子供に遺産相続。認知や権利の関係。

遺言

佐藤 智春

遺産相続ドラマ「相続探偵」第4話が放送されました。

日本テレビ系で放送中の遺産相続ドラマ「相続探偵」が、早くも第4話を迎えました。遺産相続専門の探偵・灰江七生(はいえなお)の活躍が視聴者を惹きつける本作。主人公を演じる赤楚衛二さんの演技はもちろん、物語を盛り上げる名バイプレイヤーたちの存在も見逃せません。

事務所のアシスタント・三富令子を演じる桜田ひよりさんは、幼少期からモデルとして活動し、雑誌「Seventeen」の専属モデルとしても活躍。さらに、フジテレビ系ドラマ「silent」などの話題作に出演し、現在も女優として幅広く活躍しています。

また、灰江が信頼を寄せるパートナー・朝永秀樹を演じる矢本悠馬さんは、NHK連続テレビ小説「てるてる家族」や「花子とアン」への出演で注目を集めました。さらに、映画「ちはやふる」など数々の話題作にも出演しています。

第4話となる今回は、桜田さんや矢本さんが演じる名脇役たちがどのような活躍を見せるのか楽しみですね。本記事では、相続にまつわるテーマを掘り下げながら、物語の魅力を詳しく解説していきます。

 


 

第4話「京都老舗和菓子屋の変-前編-」のあらすじ

相続専門の探偵・灰江七生(通称ハイエナ)のもとには、日々さまざまな依頼が舞い込んできます。今回の舞台は、古都・京都で100年以上の歴史を誇る老舗和菓子店「鳳凰」。店を率いるのは、黄綬褒章を受章し、和菓子の世界で人間国宝級と称される名匠・百万遍紘一(大河内浩)と、その息子であり弟子の天才職人・野心(白洲迅)。親子が生み出す極上の和菓子は国内外で高い評価を受け、店は連日テレビや雑誌でも紹介されるほどの有名店でした。

しかし、そんな名店に突如として悲劇が訪れます。大将・紘一がくも膜下出血で急逝してしまったのです。灰江のもとを訪れたのは、野心の母であり、店の従業員でもある宮越多津子(床嶋佳子)。しかし、多津子は紘一の正妻ではなく、いわゆる愛人(妾)でした。そして紘一には正妻が存在し、その間に生まれた実子・正臣(小関裕太)もいたのです。

100年以上続く名店、愛人の息子、正妻の息子。複雑に絡み合う人間関係と遺産相続の行方。今回も、灰江を悩ませる波乱の展開が待ち受けていそうです。

 


 

ポイント① 認知されていない子供に相続権はありません。

第4話の序盤、店の大黒柱であった紘一の突然の訃報に、従業員や家族は大きな混乱に陥ります。そんな中、発見された遺言書には「すべての財産を正妻と実子に、それぞれ2分の1の割合で相続させる」と明記されていました。

しかし、ここで問題が発生します。長年、地道に和菓子職人としての修行を積んできた愛人の息子・野心に対し、正妻の子・正臣はほとんど店を手伝うことなく、遊び歩いているという噂がありました。そんな中、生前の紘一から別の話を聞いていた多津子は、この遺言書が偽物ではないかと疑い、納得できずに強く反発します。

果たして、この遺言書は本物なのか、それとも巧妙に仕組まれた偽造なのか。物語はさらに波乱の展開を迎えます。

視聴者の疑問「愛人の子供に相続権はあるの?」
専門家の回答「認知されていない子供は法定相続人にはなれません。」

ここで重要なのは、故人が生前にその子を認知していたかどうかです。愛人の子供であっても、父親が認知していれば法定相続人となり、相続権を持つことができます。しかし、認知されていなければ法定相続人にはなれず、遺留分も認められません。

では、認知されていない愛人の子供に財産を残すには、どのような方法があるのでしょうか?認知の有無に関係なく、以下の方法で財産を渡すことが可能です。

1.生前に認知する
父親が生前に認知すれば、法律上の子供となり、法定相続人として相続権を得ます。認知の手続きには、役所への届出(戸籍に記載)や家庭裁判所の手続きがあります。

2.遺言書を作成する
父親が「愛人の子に○○を相続させる」と明記した遺言書を作成すれば、遺産を渡すことが可能です。ただし、他の法定相続人には遺留分(最低限の取り分)があるため、遺産全額を自由に分配できるわけではありません。

また、生前に何らかの理由で認知できなかった場合、遺言書によって子供を認知すること(遺言認知)も可能です。子が成人している場合は本人の承諾が必要で、胎児の場合は母親の承諾が必要です。しかし、認知により相続人が増え、法定相続分や相続順位が変わるため注意が必要です。

3.生前贈与する
生きている間に子供に財産を贈与する方法もあります。多額の財産を贈与する場合、贈与税の負担が大きくなる可能性があるため、計画的に行う必要があります。

4.養子縁組する
愛人の子供を養子にすれば、法律上の親子関係が成立し、法定相続人になれます。ただし、配偶者(妻)の同意が必要な場合もあり、家庭内での合意が難しいことが多いです。

しかし、愛人の子供に多くの遺産を相続させる場合、法定相続人の遺留分を侵害する可能性があり、親族間のトラブルにつながることがあります。トラブルを避けるためには、事前に専門家のサポートを受け、適切な対策を講じることが重要です。

遺言書に関するご相談事例

 


 

相続は財産の大小に関わらず、すべての方に関係する重要な問題です。相続の専門家が在籍する、みらいえ相続グループへお気軽にご相談ください。

相続のご相談(初回無料)

 


 

ポイント② 遺言書の隠匿や改竄すると相続権を失います。

第4話の中盤、多津子は生前の紘一から聞いていたと主張する遺産分割の内容について、「店のブランドは正臣に、店の不動産は野心に相続させる」というものだと語ります。真相を確かめるため、灰江は令子と朝永を連れて京都へ向かいます。こうして、愛人vs正妻、そしてその子供同士による骨肉の後継者争いが幕を開けました。

一方、遺産をすべて相続できると信じ込んでいた雅と正臣は、番頭の与平(池田鉄洋)と共に新しい支店を出そうと画策していました。しかし、その不審な動きを察知した灰江は、公表された遺言書が偽物であり、本物の遺言書を与平が隠しているのではないかと疑います。

視聴者の疑問「遺言書を隠したりするとどうなるの?」
専門家の回答「相続欠格や刑事罰を受ける可能性があります。」

ドラマの中でも、灰江の巧みな罠にはまり、雅と与平は遺言書の隠蔽や改ざんを試みたとして警察に逮捕されました。当然のことですが、遺言書を隠したり、破棄・改ざんしたりすると、法律上の重大な問題が発生します。その結果、相続欠格となり、相続権を失うだけでなく、刑事罰を受ける可能性もあります。

1.相続欠格(民法第891条)
遺言書を故意に隠したり、破棄・改ざんした者は「相続欠格者」となり、相続権を失います」。相続欠格になると、遺産を一切受け取れなくなるだけでなく、代襲相続も認められません。つまり、欠格者の子供や孫もその影響を受ける可能性があります。

2.刑事罰
遺言書を隠したり、破棄・改ざんすると、刑法上の犯罪となる可能性があります。

①遺言書を破棄・隠す
遺言書毀棄罪(刑法第105条)

②遺言書を偽造・改ざんする
私文書偽造罪(刑法第159条)

③遺言書を盗む
窃盗罪(刑法第235条)

遺言書を発見した場合は、勝手に開封せず、専門家の指導を受けながら正しい手続きを進めることが重要です。また、適切な相続手続きを進めるためには、税理士や司法書士などの専門家に相談しながら対応することをおすすめします。

相続手続きの流れと法的根拠

 


 

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ポイント③ 遺言書と異なる内容でも遺産分割は可能です。

第4話の終盤、灰江は正臣や野心、そして従業員たちの前で本物の遺言書を読み上げます。そこには「現金、株などの金融資産と商標権を正臣に相続させる。鳳凰の作業場と店舗のある不動産、およびその不動産内の動産は野心に相続させる」と記されていました。

本来であれば、雅も遺留分として一定の遺産を受け取る権利がありました。しかし、遺言書の隠蔽と改ざんを行ったことで相続欠格となり、相続権を失うことに。結果として、遺産は正臣と野心が分け合う形となりました。

視聴者の疑問「遺言書と異なる遺産相続はできるの?」
専門家の回答「相続人全員の合意があれば可能です。」

ドラマの内容と重なりますが、生前に相続人が聞いていた相続内容と、実際に残された遺言書の内容が異なる場合でも、原則として遺言書が優先されます。
しかし、相続人同士の話し合いによって、遺言書とは異なる内容で遺産を分割したいケースも少なくありません。

では具体的には、どのようにして遺言書とは異なる内容で相続するのでしょうか?

遺言書がある場合でも、相続人全員の合意があれば、遺言書とは異なる内容で遺産を分割することが可能です。このような手続きを 「遺産分割協議」 といいます。

ただし、「遺言執行者」が指定されている場合、遺言の内容を実行する役割を持つ人がいるため、遺産分割協議が制限されることがあります。また、遺言で「遺産分割禁止」が指定されている場合、原則変更できません。

遺産分割協議では、遺産の分け方や財産の評価をめぐって意見が分かれ、感情的な対立が生じることもあります。そのため、専門家のサポートを受けながら、相続人全員で冷静に話し合い、全員が納得できる協議を行うことが重要です。税理士・司法書士などの専門家に相談することで、法的手続きや税務の面から適切なアドバイスを受けることができ、スムーズな解決につながります。

遺産分割協議のスムーズな進め方

 


 

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第4話「京都老舗和菓子屋の変-前編-」の感想

問題が解決し、灰江たちが去った京都では、思いがけない事態が動き始めていました。店の不動産を手にした野心は、心機一転して店名を変え、新たにオープン。しかし、老舗「鳳凰」と同じ価格設定を維持したため、知名度のない店としては苦戦を強いられ、客からの評判も芳しくありません。一方、正臣は手頃な価格の和菓子ブランド「鳳凰べっかん」を立ち上げ、気軽に楽しめるお菓子が話題を呼び、店は大盛況となっていました。果たして、100年の歴史を誇る老舗和菓子店の未来はどうなるのか?物語は、第5話へと続きます。

今回の舞台は京都ということもあり、その独特な文化が物語の魅力を引き立てていましたね。特に印象的だったのは、お茶を勧めたり、ホウキを逆さに立てたりすることで、長居する客に「そろそろお帰りの時間では?」とさりげなく促す、京都ならではの作法が描かれたシーン。このような伝統的な仕草が、京都の奥ゆかしい文化を感じさせる興味深い演出でした。

相続においても、故人の思いと残された人々の思いがうまく重なり合い、皆にとってより良い形で遺産が引き継がれることが大切です。遺言書があれば、故人の意志が尊重されるのが原則ですが、相続人同士の話し合いによって、より円満な解決策を見つけることも可能です。

大切なのは、争いを避け、家族の絆を保ちながら、遺産を次の世代へと受け継ぐこと。そのためにも、専門家のサポートを受けながら冷静に話し合い、納得のいく相続を実現することが重要です。

相続トラブルを防ぐための生前対策

 


 

相続が争族とならないために。

「相続は争族」という言葉は古くから使われており、「相続」が原因で「争い」が起こることを意味しています。相続は単なる財産の継承ではなく、家族の関係や感情が深く絡むため、適切な準備をしていないと深刻なトラブルに発展することがあります。

こうした相続トラブルを防ぐためには、遺言書の作成など、以下のような生前対策が非常に重要です。

1. 遺言書の作成
公正証書遺言の作成を推奨(公証役場で作成し、偽造・紛失リスクを防止)
遺産分割の方針を明確にし、家族の争いを防ぐ

2. 家族信託の活用
認知症による財産凍結を防ぐため、家族信託の設計
事業承継や不動産管理をスムーズに行う仕組みの構築

3. 生前贈与の活用
年間110万円以下の贈与(贈与税の基礎控除を活用)
教育資金・結婚資金の非課税贈与(一定の条件下で贈与税非課税)

4. 相続税対策
不動産の有効活用による相続税評価額の引き下げ
生命保険の活用(非課税枠を最大限活かす)

5. 財産整理とエンディングノートの作成
どこにどんな資産があるのかを整理
自分の希望(医療・葬儀・相続)を記録し、家族が迷わないようにする

6. 相続発生後の手続きサポート
遺産分割協議の支援
相続税申告・節税アドバイス

みらいえ相続グループでは、これらの対策を税理士・司法書士などの専門家と連携し、個々の家庭に最適なプランを提案します。

 


 

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[監修]

佐藤 智春代表 税理士・行政書士

経歴:仙台大原簿記専門学校卒業後、宮城県で最年少税理士登録。20年以上の実務経験を持ち相続専門税理士として数多くの案件を手がける。(2024年相続税申告実績/222件) 相続専門税理士佐藤智春は税理士の日(2月23日)に産まれ、二次相続はもちろん、三次相続までサポートできます。多くの案件をこなしているからこそ三次相続まで見据えた遺産の分け方を提案しています。

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