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一般のお客様から相続サポートしている人まで幅広く役立つ相続に関する知識をわかりやすくご紹介しています。
佐藤 智春
亡くなられた方の財産を引き継ぐ方法として、相続と遺贈の2種類があります。
それぞれが似たような文脈で使われることも多いため、用語としての意味や実際の手続きなどの違いに悩んでいる方も多いでしょう。
そこでこの記事では、相続と遺贈の具体的な違いや計算方法、注意点などについて詳しく解説していきます。
これらの情報を押さえておくことで、相続と遺贈の明確な違いが分かり、どちらを選択すべきかが判断しやすくなります。
税金や遺留分などのお金に関する違いもあるので、必ず押さえておきましょう。
相続と遺贈は同じような言葉として使われることが多いですが、それぞれの意味は大きく異なります。
相続というのは、配偶者や兄弟、父母のような「法定相続人が財産を引き継ぐこと」を指します。
一方で遺贈というのは、遺言書に書かれている内容をもとに「無償で財産を譲ること」を指し、分配方法は様々です。
遺贈の場合は譲り先の決まりがないので、法定相続人以外の第三者や団体に財産を譲ることもできます。
つまり、財産を法定相続人のみに引き継ぐのが相続で、法定相続人以外の人物や団体にも引き継げるのが遺贈ということになります。
基本的には遺贈よりも相続のほうがメリットは大きいので、特定の人物や団体に財産を譲りたいというのでなければ相続がおすすめです。
相続と遺贈では、手続きや税金などにも大きな違いがあります。
この記事では、以下の6つについて紹介していきます。
相続・遺贈のどちらの選択を選ぶ場合でも、これらの項目については事前に理解しておく必要があります。
先に決めてしまうと、後々手続きや税金に追われてしまう可能性もあるので、一度必ず目を通しておきましょう。
先ほども軽く触れましたが、相続と遺贈では財産を受け取る人が異なります。
相続の場合は法定相続人に財産を引き継ぎますが、遺贈の場合は法定相続人以外の人物・団体に財産を譲ることができます。
配偶者の両親や、孫(子供が存命の場合)などは法定相続人に含まれないため、譲り先次第では遺言書で遺贈を希望しなければなりません。
同様に、遺贈の場合は相続と違って、NPO法人や自治体などの団体にも譲ることができるという利点があります。
また、普段からお世話になっている第三者の方に譲ることもできるため、その人自身の意思や環境に合わせて柔軟な選択ができるのも魅力です。
財産を法定相続人に引き継ぎたいのであれば相続を、法定相続人以外の第三者などに譲りたいのであれば遺贈を選択しましょう。
不動産の登記手続きという点においては、遺贈よりも相続のほうが負担は少なく済みます。
というのも、不動産を相続する場合、相続人ひとりで登記を申請することができます。
対して遺贈は、受遺者だけでなく相続人全員の申請が必要となるため、多くの時間や労力がかかり困難です。
不動産の登記手続き自体、必要な書類を用意したり、役所に何度も足を運んだりしなければならないため、決して容易なものではありません。
そこからさらに相続人全員の申請が必要と考えると、ご家族や専門家などの協力も必要になってくるでしょう。
相続・遺贈で引き継ぐ財産は必ずしも現金だけではないので、不動産のような土地や農地なども確認しておきましょう。
借地権は土地を借りている際の権利、借家権は物件(建物)を借りている際の権利のことを指すので、必ずしも万人に当てはまるとは限りませんが、借地権・借家権の引き継ぎについても、相続と遺贈では大きな差があります。
借地権・借家権を相続する場合は賃貸人(大家さん)の承諾が不要なため、負担が少なくスムーズに進めることができます。
一方で遺贈の場合は賃貸人(大家さん)の承諾が必要で、承諾請求や移転手続きなどをします。
借地権・借家権の引き継ぎという点においては、遺贈よりも相続ほうが手順が少なく簡易的です。
不動産の引き継ぎにあたって、所有権登記が必要となりますが、そのとき登録免許税という税金を納めなければなりません。
相続よりも遺贈のほうがより高い納税額を納めなければならないため、遺贈を希望する方にとっては大きな痛手ともいえるでしょう。
まず、不動産を相続する際の計算方法ですが、「固定資産税評価額×0.4%」と定められており、固定資産税表額によって納税額が変動します。
続いて不動産を遺贈する際の計算方法ですが、「固定資産税評価額×2%」と定められており、納税額としては相続の5倍となっています。
これほど大きな差が生まれてしまうため、不動産を遺贈する際は金額面を考慮して慎重に判断していくことが重要です。
参照URL:登録免許税の税額表|国税局
相続と遺贈では、相続税の割合が異なります。
相続の場合は通常通りの納税額を納めるのに対し、遺贈の場合はそこからさらに2割加算されます。
2割加算の具体的な計算手順は、以下の4つです。
数字で表すと+20%ということになるので、決して無視はできない金額になるでしょう。
ただし、相続税の2割加算には一部例外もあり、引継ぎ先が法定相続人であっても、配偶者・子・父母以外の場合は2割加算されます。
通常の相続税より多くの金額を納税しなければならないため、充分に現金を確保しておく必要があります。
不動産を特定遺贈をする場合のみ、不動産取得税がかかります。
遺贈には特定遺贈と包括遺贈の2種類があり、それぞれ異なるのは財産を渡す方法です。
特定遺贈は譲り先を指定して渡すことを指しますが、包括遺贈は複数の譲り先に分割して渡すことを指します。
不動産の特定遺贈を考えている方は、不動産取得税がかかるということを覚えておきましょう。
不動産取得税の計算方法は「不動産評価額×税率」となっており、遺贈する不動産によって税率が異なります。
土地や住宅用の建造物であれば税率は3%、事務所や店舗などのような住宅として扱っていない建造物であれば税率は4%です。
特定遺贈をする際は税率なども考慮して検討しましょう。
参照URL:不動産取得税|東京都主税局
遺贈と相続の明確な違いが分かったうえで、それぞれの注意点について解説していきます。
遺贈する際の主な注意点は以下の2つになります。
遺贈する際は、この2つの注意点を押さえておくことが重要です。
手続きをスムーズに進めていくためにも、遺留分・税金に関しては必ず理解しておきましょう。
遺贈の場合は遺言書の内容に沿って手続きを進めていくため、相続する割合は自由に決めることができます。
ただし、分割する割合を決める際は、相続人の遺留分を考慮して金額を決めていかなければなりません。
遺留分とは、「相続人が最低限取得できる遺産の割合のこと」を指し、兄弟姉妹以外の法定相続人であれば遺留分が保障されています。
もし仮に、遺言書の内容が遺留分を考慮されていなかった場合、遺留分侵害額請求を受けることにつながります。
遺言書の内容・分割割合を確実に反映させるためにも、相続人の遺留分を考慮して金額を決めていきましょう。
遺贈の場合、相続人の遺留分とは別で税金の負担額も考慮しなければなりません。
まず、遺贈する金額が基礎控除を超えると、相続税が課税されます。
基礎控除の計算方法は「3,000万円+法定相続人×600万円」となっており、相続・遺贈問わずこの金額を超えると課税される仕組みです。
ですが、遺贈の場合は相続税の2割加算も支払わなければならないため、相続よりも税金の負担額が大きくなってしまいます。
遺贈する金額を決める際は、これらの税金の負担額も考慮して決めていくことが重要です。
相続と遺贈を比較すると、相続のほうがメリットは多くありますが、その反面注意点もあります。
相続の場合は遺言書がないケースも多いため、事前に分割方法を決めておくことが重要です。
相続の場合でも、遺言書があると分割方法を決める負担がより少なくなります。
というのも、相続の場合は法定相続人全員で分割について協議する遺産分割協議というものが必要です。
分割方法について意見がまとまらないケースもあり、相続人同士で決定できない場合は家庭裁判所による調停が行われることもあります。
家庭裁判所の調停では、調停委員が相続人の話しを聞いて意見をまとめたり、裁判官から具体的な解決策が提案されたりと、第三者を交えて話し合いをしていきます。
この調停が不成立になった場合は、審判手続きに移行し、裁判所が分割方法を決定することになるため、全員が納得する形とは言えません。
これらのトラブルを防ぐためにも、遺言書に分割方法を記すなどして、相続人の負担を減らしていきましょう。
参照URL:遺産分割協議とは?|松谷司法書士事務所
この記事では、相続と遺贈の違いについて様々な観点から解説してきました。
これらの内容を踏まえたうえで、相続と遺贈のどちらが適しているかを判断していきましょう。
手続き・税金という面では相続のほうがメリットは大きいですが、遺贈であれば財産の譲り先の幅が広がるため、個人の意思によって最適手段は異なります。
そのため、ご自身の意思や環境に適した手段を選ぶことが重要です。
遺贈にすべきかどうか?それぞれどれくらいの税金がかかるか?
具体的に把握した上で決めたい方は、弊社でサポートさせていただくことも可能です。
その際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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