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東京国分寺で考える、老後ひとりで生きるための生前対策。

生前対策

佐藤 智春

増え続けるひとり老後の現実。

東京都国分寺市は、都心へのアクセスの良さと、武蔵野の自然を感じられる住環境を兼ね備えた街です。緑豊かな国分寺崖線や歴史ある史跡が点在するこの地域では、穏やかで自分らしい老後を求める人々が多く暮らしています。

一方で、現代日本では高齢者の単身世帯が増加しています。国立社会保障・人口問題研究所のデータによれば、2020年時点での生涯未婚率は男性で約28%、女性で約18%にのぼり、未婚のまま老後を迎える人が増えています。国分寺市においても高齢化が進んでおり、2025年4月1日時点での総人口129,578人のうち、65歳以上の高齢者は21.7%を占めています。これは人口の約4.6人に1人が65歳以上であることを示しています。

こうした背景の中で、「自分が動けなくなったとき、誰が支えてくれるのか?」「亡くなった後のことは、誰がしてくれるのか?」といった不安を感じる人も少なくありません。そこで注目されているのが、「生前対策」です。この記事では、国分寺でひとり老後を見据える方に向けて、公正証書遺言や死後事務委任契約といった制度を活用した具体的な備え方を紹介していきます。

 


 

老後の不安を解消する生前対策

国分寺市内でひとり暮らしを選ぶ方は多いですが、元気なうちは良いとしても、年齢を重ねることで様々なリスクに備える必要が出てきます。特に、急な病気や認知症など、判断能力が低下した場合に備えた対策は非常に重要です。そこで生前対策として最も有効なのが、自分の意思を法的に示しておくことです。

想定される主なリスク
老後に備えるためには、予測できるリスクを早い段階で把握し、対策を講じることが重要です。

病院施設入所時の保証人がいない
高齢者施設や病院に入所する際、多くの場合で保証人を求められます。身寄りがない場合、手続きが進まず、入所が困難になるケースがあります。

判断能力が低下した場合の財産管理
認知症などにより判断力が衰えると、預貯金の管理や契約行為が自分ひとりではできなくなります。詐欺などのリスクも高まります。

死後の手続きをしてくれる人がいない
葬儀・納骨・遺品整理・住居の解約・公共料金の手続きなど、死亡後に必要な処理を行ってくれる人がいないと、放置される恐れがあります。

 


 

生前対策の一例と必要性
これらのリスクに対応するには、「元気なうちに自分の意思を示しておくこと」が極めて重要です。

遺言書の作成
相続人がいない場合や、特定の人や団体に財産を遺したい場合などには、遺言書によって意思を明確にすることで、死後のトラブルや財産の国庫帰属を防ぐことができます。

遺言執行者の指定
遺言に基づいて財産分けや名義変更などの実務を行う「遺言執行者」を事前に指定しておくことで、死後の手続きがスムーズに進みます。弁護士や司法書士など、専門知識のある第三者に依頼するケースも増えています。

死因贈与契約
自分が死亡したときに財産を特定の人へ贈与する契約で、契約書を交わすことにより遺言と似た効果が得られます。贈与者と受贈者の合意が必要です。

民事信託(家族信託)
自分の財産を信頼できる家族に託し、決めた目的ルールに従って管理処分してもらう制度です。将来的に判断能力が低下した場合でも、信託契約に基づき円滑な相続対策が可能です。

相続税対策(贈与資産整理など)
相続税の負担を軽減するために、生前贈与の活用や不動産の整理、非課税枠の活用などの計画を立てることも重要です。特に、相続人がいない場合や財産の一部を団体などに寄付する場合には、法律や税制に沿って手続きを進めないと、意図しない課税や手続き上のトラブルが生じることがあるため、専門家のサポートを受けると安心です。

 


 

特に重要な「公正証書遺言」と「死後事務委任契約」
上記の生前対策の中でも、「公正証書遺言」と「死後事務委任契約」は、おひとりさまにとって特に重要です。

公正証書遺言
公証人が関与して作成される法的に強固な遺言書です。自筆の遺言に比べて形式不備や紛失改ざんのリスクがなく、確実に本人の意思を実現できます。特に相続人がいない場合、財産の寄付先や譲渡先を指定しておくことで、国庫に帰属してしまうのを防ぐことができます。

死後事務委任契約
葬儀の実施、納骨、住まいの片付け、公共料金の解約など、死亡後に必要な手続きを生前に信頼できる第三者(弁護士司法書士など)に委任する契約です。家族がいない人にとっては、自分の死後をきちんと整理してもらうための欠かせない備えとなります。

 


 

老後の生活や死後の手続きをめぐる不安は、元気なうちに備えることで大きく軽減できます。特におひとりさまにとっては、誰かに頼ることが難しい分、自分自身で準備をしておくことが何より大切です。

関連情報|相続トラブルを未然に防ぐ生前対策

 


 

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公正証書遺言と死後事務委任契約の活用法

高齢になると「亡くなった後、誰がどうしてくれるのか?」という不安がつきまといます。この不安を解消するために、「公正証書遺言」と「死後事務委任契約」の活用が有効です。

公正証書遺言(法的効力の強い遺言書)
公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成に関与する、法的効力が強く安全性の高い遺言書です。自筆の遺言書とは異なり、紛失や改ざんのリスクがなく、家庭裁判所での検認手続きも不要なため、相続手続きをスムーズに進めることができます。とくに次のようなケースでは、公正証書遺言を作成しておくことが強く推奨されます。

相続人がいない、あるいは遠方に住んでいてすぐに対応できない
特定の人や団体に財産を遺したい
遺産をめぐるトラブルを避けたい
相続人はいるが関係が疎遠である

また、公正証書遺言では遺言執行者を指定することもできるため、遺言内容を確実に実行に移す体制を整えることができます。

 


 

死後事務委任契約(死後の手続きを託す仕組み)
死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後に必要となるさまざまな事務手続きを、あらかじめ信頼できる人に委任しておく契約です。家族がいない、頼れる人が身近にいないといった場合でも、死後の生活面の対応を安心して任せることができます。

主な委任内容の例
死亡届の提出、火葬や納骨など葬儀に関する手続き
賃貸住宅の明け渡しや住居の片付け
電気ガス水道など公共料金の解約
遺品整理やペットの引き取りなど

 


 

公正証書遺言が「財産の承継」を扱う法的対策であるのに対し、死後事務委任契約は「生活面の後片付け」を委任する実務的対策です。両方を準備しておくことで、死後に起こりうる問題を包括的にカバーできます。

こうした制度は、個人の状況や希望に応じて柔軟に設計できますが、法的効力や手続きの正確さが問われる場面も多く、専門家の助言を受けながら進めることが大切です。司法書士や弁護士、行政書士などの専門家に相談しながら、自分に合った備えを考えてみましょう。

関連記事|自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらがいいの?

 


 

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老後を支える任意後見制度と財産管理

老後の生活を支えるためには、死後の備えだけでなく、元気なうちから「どう老いるか」の視点で準備を進めることが大切です。特に、認知症や健康状態の低下に備えて、信頼できる人に支援を託す仕組みを整えることが重要です。

任意後見制度
判断能力があるうちに、信頼できる人を「将来の後見人」として契約しておく制度です。将来的に認知症などで判断が難しくなったとき、家庭裁判所の監督のもとで、選任された後見人が財産管理や生活に必要な契約行為などを代行してくれます。事前に指定しておくことで、身内の方が後見人にになることもできます。

財産管理委任契約
任意後見制度より柔軟性が高く、判断能力がある今からでも、信頼できる第三者に財産の管理や日常的な生活支援を依頼できる制度です。通帳や印鑑の管理、公共料金の支払い、買い物の代行、通院の付き添いなど、暮らしをサポートする内容にも対応できるため、段階的な支援を求める方に適しています。

エンディングノート
法的効力はないものの、自身の想いや希望を記録しておくことで、家族や支援者にとっての大切な手がかりとなります。延命治療の希望、葬儀や供養のスタイル、親しい友人への連絡先、ペットの行き先などを書き記しておくことで、遺された人たちの負担軽減にもつながります。公正証書遺言や死後事務委任契約と併用することで、より安心できる準備が整います。

 


 

これらの制度や手段を活用することで、「老後のある日突然やってくるかもしれない変化」に、落ち着いて対応することができます。

自分の意志を明確にし、周囲との信頼関係を築きながら、将来を見据えて準備しておくこと。それは、「ひとりで老いる」ことを不安に変えるのではなく、「自分で選び取る人生」として前向きに捉える第一歩になるのではないでしょうか。

みらいえ相続グループの強み

 


 

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自分で決める最期はご相談を。

ひとりで老後を迎えることが増えている今、「自分の最期をどう迎えるか」を考えることは、ますます重要です。国分寺のような穏やかな環境で過ごすためには、早めの生前対策が欠かせません。

公正証書遺言で財産の行き先を明確にする
死後事務委任契約で死後の手続きを信頼できる人に託す
任意後見制度・財産管理契約で老後の生活を支える
エンディングノートで自分の想いを残す

これらを活用することで、人生の最終章を自分らしく生ききることができるのです。「まだ元気だから」と思っている今こそが、生前対策のはじめどきです。少しずつ、自分の未来に備えてみませんか?

みらいえ相続グループでは、相続税の申告はもちろん、生前対策にも積極的に対応し、あなたの未来をしっかりサポートさせていただきます。相続専門のプロフェッショナル集団として、専門的な知識と豊富な経験を活かし、あなたの大切な財産を守るお手伝いをいたします。不安を感じる前に、ぜひ一度ご相談ください。

 


 

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[監修]

佐藤 智春代表 税理士・行政書士

経歴:仙台大原簿記専門学校卒業後、宮城県で最年少税理士登録。20年以上の実務経験を持ち相続専門税理士として数多くの案件を手がける。(2024年相続税申告実績/222件) 相続専門税理士佐藤智春は税理士の日(2月23日)に産まれ、二次相続はもちろん、三次相続までサポートできます。多くの案件をこなしているからこそ三次相続まで見据えた遺産の分け方を提案しています。

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