相続税申告
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安心の申告を約束します。
一般のお客様から相続サポートしている人まで幅広く役立つ相続に関する知識をわかりやすくご紹介しています。
佐藤 智春
資産運用の手段として「ファンドラップ(ラップ口座)」を利用する人が増えています。運用をプロに任せられる手軽さや、長期的な投資に向いている点から、退職後の資産管理や相続対策の一環として選ばれることも多くなっています。ただし、ファンドラップは、相続が発生した際にそのまま引き継げるとは限りません。運用中の金融商品はどのように扱われるのか、現金化された際の税金はどうなるのか、ラップ口座ならではの注意点も多く、相続人には一定の理解が求められます。
「親のラップ口座、毎年報告書が届いてたけど、あれって税金も引かれてるの?」「換金されたお金に確定申告って必要なの?」「そもそも何から手をつければいいのか分からない」こうした疑問に正しく対応し、余計な税負担やトラブルを避けるためには、相続や税務に関する専門的な知識が欠かせません。本記事では、ファンドラップの相続について、基礎から実務上のポイントまで詳しく解説していきます。
ファンドラップとは、投資家が金融機関(証券会社や銀行など)に資産運用を一任するサービスです。投資方針やリスク許容度を伝えたうえで、金融機関がその方針に沿って、株式や債券、投資信託などの金融商品を売買・管理します。その特徴は、投資判断をすべてプロに任せられる「投資一任契約」であること。特に投資に詳しくない高齢の方や、一定の資産を保有する富裕層に人気がある運用形態です。
ラップ口座、ファンドラップとは?
ラップ口座
投資一任契約を締結し、専用口座で多様な金融商品を管理・運用するサービス全般。
ファンドラップ
ラップ口座の一種で、主に投資信託を活用して運用されるタイプ。
どちらも被相続人の名義で金融商品を保有している状態となり、相続が発生すると、原則として運用は停止されます。
相続発生時には原則「現金化」
多くの金融機関では、被相続人の死亡が確認された時点で投資一任契約が終了し、口座内の資産は強制的に売却(換金)されます。その結果、相続人が受け継ぐのは「現金化された資産」であり、個別銘柄やポートフォリオをそのまま引き継ぐことは通常できません。
新たな制度「現金化せずに相続できるラップ口座も」
近年、一部の金融機関では「資産承継特約付きラップ口座」の提供が始まっています。被相続人と相続人がともにラップ口座を契約しており、生前に受取人指定や死因贈与契約を結んでいる場合、口座資産を現金化せずに相続できる仕組みです。ただし、まだ導入している金融機関は限られており、条件も厳しいため、該当する場合を除き、一般的には「現金化された資産」として扱うのが基本です。
ファンドラップは魅力的な資産運用手段である一方、相続が発生すると手続きが複雑になります。運用の継続は基本的にできず、相続人は換金後の資産をもとに相続手続きを行う必要があります。こうした背景をふまえ、早めの情報整理と、必要に応じた専門家への相談をおすすめします。
みらいえ相続グループでは、東京・仙台を拠点に、相続の専門家が、対面やオンラインでのご相談にも対応しております。まずは、お気軽にご相談ください。
ファンドラップ(ラップ口座)は、相続が発生すると自動的に運用が終了し、口座内の資産は現金化されて払い出されます。相続人はその後、所定の手続きに加え、「所得税・住民税の確定申告」と「相続税の申告」を行う必要があります。
たとえ「源泉徴収ありの特定口座」であっても、譲渡益が出ている場合には、契約者死亡による換金は源泉徴収されていないので相続した人が所得税の確定申告をする必要があるので注意が必要です。
相続時の基本的な流れ
① 死亡の連絡と口座凍結
相続人が証券会社や金融機関に連絡すると、ラップ口座は凍結され、運用は停止されます。
② 資産の換金と払い出し
口座内の金融商品は売却され、現金として払い出されます。
③ 相続人への分配と税務処理
換金された資産は、遺言書や遺産分割協議書に基づき相続人に分配されます。また、税務申告が必要となる場合があります。
必要な税務申告は2つあります。
① 所得税・住民税(相続人による確定申告)
ラップ口座の資産を換金した際に利益(譲渡益)が出ていた場合、その税金は被相続人ではなく「相続人」に課税されます。
会社員で利益が20万円以下:所得税の申告は不要。ただし住民税の申告は必要です。
20万円超または自営業者の場合:所得税・住民税ともに申告が必要です。
損失が出た場合:他の証券口座の利益と損益通算して節税が可能です(要申告)。
※ラップ口座は「源泉徴収ありの特定口座」でも、死亡により契約が強制終了すると一般口座扱いで払い出されるため、多くの場合で相続人による確定申告が必要となります。
② 相続税(被相続人の死亡時点の時価で評価)
相続税の申告は、被相続人が亡くなった日の時価をもとに行います。
換金後の金額ではなく、証券会社から発行される「残高報告書」や「契約終了報告書」をもとに評価額を算出します。
申告期限:相続開始(死亡日)から10か月以内
ファンドラップの相続では、「所得税」と「相続税」の両方に関わる手続きが発生し、税務処理が複雑になることがあります。特に利益が出ていた場合、処理を誤ると追徴課税のリスクもあります。早めに税理士などの専門家に相談し、正確な対応を進めることが大切です。
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ファンドラップの相続では、通常の投資信託や株式と異なるルールが多くあります。よくある勘違いや注意点を理解しておくことで、申告漏れや税金トラブルを防ぐことができます。
「取得費加算の特例」は使えない
相続財産を売却して利益(譲渡益)が出た場合、通常は「取得費加算の特例」により、支払った相続税を売却時の取得費に加えることで課税を軽くできます。しかし、ファンドラップの換金益は「譲渡所得」ではなく、「雑所得」や「事業所得」に分類されるため、この特例は適用できません。「相続税を払ったから税金は軽くなるはず」と誤解して申告を怠ると、後から追徴課税を受けるリスクがあります。
被相続人の準確定申告が不要な場合も
ラップ口座の利益は、相続後に換金される性質を持っています。そのため、被相続人が亡くなる前に利益が確定していなければ、被相続人の準確定申告(死亡後に行う確定申告)は不要となるケースがあります。
相続に備えてできる「生前対策」
ファンドラップを保有している方が元気なうちに、以下のような対策を講じておくと、相続時の混乱を防げます。
資産承継機能付きのラップ口座を活用する
遺言書を作成し、資産の所在や口座名義、また誰に資産を遺したいかを明確にしておく
エンディングノートで意思や資産の概要を家族に伝えておく
ファンドラップは、他の金融商品と比べて制度や税制が特殊です。「取得費加算が使えない」「特定口座でも確定申告が必要になることがある」といった点は特に注意が必要です。生前から契約内容や資産状況を家族と共有しておくこと。そして相続が発生したら、早めに税理士などの専門家に相談することが、トラブルを防ぐ最善の方法です。
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ファンドラップ(ラップ口座)は、資産運用の手間を減らせる便利なサービスですが、いざ相続となると、手続きや税金の扱いが想像以上に複雑です。換金のタイミング、税金の区分、評価方法、申告内容など、少しの判断ミスや手続きの遅れが、大きな損失や相続トラブルにつながることもあります。とくに、相続税や所得税(準確定申告を含む)の申告では、専門的な判断が必要です。
みらいえ相続グループでは、ファンドラップの評価資料の取得支援をはじめ、相続税・所得税(準確定申告含む)の申告手続き、生前対策としての贈与や遺言、家族信託のご提案まで、一貫したサポートを行っています。
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