相続税申告
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一般のお客様から相続サポートしている人まで幅広く役立つ相続に関する知識をわかりやすくご紹介しています。
佐藤 智春
人生の終わりを意識したとき、自らの財産をどのように社会に役立てるかを考えることは、非常に意義深いことです。近年では、遺産を家族や親族だけに残すのではなく、社会貢献を目的として寄付したいと考える人が増えてきました。そんな想いを実現する手段のひとつが「遺贈寄付」です。遺贈寄付とは、遺言書によって、自分の死後に相続財産を、相続人以外の第三者や団体に寄付する制度です。
遺贈寄付には、相続人の「遺留分」に配慮したり、受け入れ先の団体と事前に確認を取ったりするなど、いくつかの注意点もあります。本記事では、遺贈寄付の基本的な仕組みやメリット、具体的な手続きの流れ、実際の寄付先候補などについて解説します。
少子高齢化の進展により、相続人がいない、または相続させたい相手がいない人が増えています。そうした中で、人生の最後の選択肢として遺贈寄付を選ぶ人が増えていることが背景にあります。
2025年2月に日本財団が実施した「遺言・遺贈に関する意識・実態把握調査」(60歳~79歳の男女2,000人対象)によると、全体の64.1%が「遺贈」という言葉を認知していることがわかりました。これは2021年の54.7%、2023年の55.4%と比べて、年々認知度が高まっている傾向を示しています。ここでは、遺贈寄付の基本的な考え方などについて解説します。
遺贈寄付の基本
遺贈寄付とは、遺言書を通じて、自分の財産の一部または全部を公益法人やNPO法人などの非営利団体に寄付することです。現金のほか、不動産、株式、貴金属、美術品なども対象となります。
遺贈寄付のメリット
社会に貢献できる
自らの財産を通じて、子どもの支援、医療、教育、環境保全など、社会課題の解決に貢献できます。
財産の使い道を自分で決められる
相続人がいない場合、財産は最終的に国に帰属しますが、遺贈寄付をすれば、自分の意志で使い道を指定できます。
相続税や所得税の軽減
遺贈寄付により、寄付した財産は相続税の課税対象外になります(国、地方自治体や一定の法人等が対象)。被相続人が亡くなる年の所得についても、寄付金控除の対象となる場合があります(準確定申告で対応)。相続人が相続後に寄付する場合も、10か月以内であれば相続税の軽減措置が適用されます。
遺贈寄付を実現するには、遺言書の作成や寄付先の選定など、法律や税務に関する専門的な知識が求められることがあります。相続財産の寄付をお考えの方は、税理士など相続の専門家に相談することをおすすめします。
みらいえ相続グループでは、無料の相続税シミュレーションをご用意しております。ご家族の構成や財産の内容を入力するだけで、相続税の目安を簡単に確認できます。
遺贈寄付は、自身の価値観や想いを未来に託す大切な方法です。法的な準備や寄付先との連携など手続きは多岐にわたりますが、専門家と相談しながら進めることで、安心して寄付を行うことができます。
遺贈寄付の大まかな流れ
1.寄付先選定と受け入れ可否確認
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2.財産内容と配分方法の決定
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3.必要に応じて専門家に相談
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4.遺言書の作成、遺言執行者を選任
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5.遺言者死亡後、遺言書の開示・検認(公正証書遺言の場合は不要)
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6.寄付先団体への遺贈通知
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7.財産の名義変更や現金移転
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8.必要に応じた税務申告
代表的な寄付先
日本財団(福祉・教育・災害支援)
国境なき医師団(医療支援)
ユニセフ(子どもの権利保護)
セーブ・ザ・チルドレン(子どもの権利)
あしなが育英会(遺児奨学金支援)
日本赤十字社(災害・医療支援)
WWFジャパン(環境保護)
日本盲導犬協会(視覚障害者支援)
グリーンピース・ジャパン(環境保全)
遺贈寄付の具体的な方法
生前に準備する方法
遺言による寄付
遺言書に「財産の○%を〇〇団体に遺贈する」または「○○万円を〇〇団体に遺贈する」と具体的な金額や割合を明記することが重要です。
「財産の一部」など曖昧な表現は、遺言執行の際に混乱を招く恐れがあります。
死因贈与契約
自分の死亡を条件に、〇〇団体とあらかじめ契約を結ぶ方法です。契約内容に金額や対象資産を明記しておくことで、確実な寄付が可能になります。
生命保険による寄付
生命保険の受取人に団体を指定し、死亡後に保険金が直接寄付される仕組みです。保険契約書に具体的な金額や団体名を記載する必要があります。
信託による寄付
信託契約により、自身の死亡後に財産が特定の団体へ確実に移転されるように設定します。信託契約書内で金額や時期、対象資産を明示する必要があります。
死後に遺族が行う方法
相続財産の寄付
相続人が、相続した財産の中から具体的な金額や資産を寄付します。故人が寄付を望んでいた場合には、その意思を尊重して内容を明確にすると良いでしょう。
香典返しとしての寄付
香典返しの代わりに、故人とゆかりのある団体に一定額を寄付する方法です。金額をあらかじめ決めておくと、遺族の判断もしやすくなります。
遺言書の作成について
自筆証書遺言
本人が全文自書。手軽だが方式違反や紛失リスクあり。2020年からは法務局での保管制度も開始。
公正証書遺言
公証人の立会いで作成し、法的に最も安全。費用はかかるが改ざんや方式ミスがないため推奨。
遺贈寄付には、遺言書の適切な作成など、しっかりとした生前対策が重要です。想いを確実に届けるためには、法的な知識や手続きの理解が不可欠となります。はやめに信頼できる専門家に相談し、自分の意思を明確にしたうえで準備を進めることで、安心して未来へ想いを託すことができます。
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遺贈寄付は想いを未来に託す尊い手段ですが、税務・税務の対応、寄付先の事情、家族関係など幅広い配慮が必要です。ここでは主な注意点とポイントを整理し、スムーズな実行に役立つ情報をまとめます。
遺贈寄付で注意すべきポイント
遺留分への配慮
遺留分とは、配偶者・子・直系尊属に法律で保障された最低限の相続分です。遺贈寄付が遺留分を侵害すると、相続人から「遺留分侵害額請求」を受けるリスクがあります。法的トラブルを避けるため、遺留分を考慮した遺言書の作成が必須です。
適切な遺贈方法の選択
包括遺贈
財産の割合を指定(例:全財産の50%)
負債も含むため寄付先の負担になる場合あり。
特定遺贈
財産の種類や内容を個別指定(例:預金300万円)
トラブル防止にはこちらがおすすめ。
現物資産の取り扱いに注意
不動産や株式などの遺贈は「みなし譲渡課税」の対象となる場合があります。不動産は管理・処分にコストがかかるため、現金化(清算型遺贈)が無難です。寄付先が受け入れ可能な財産の種類は団体によって異なるため、事前に必ず確認しましょう。
遺言執行者の選任
遺言の内容を確実に実行するため、信頼できる遺言執行者を指定しましょう。尚、みらいえ相続グループで遺言書を作成した場合、みらいえ相続行政書士法人が執行人になります。
家族への配慮と意思の共有
法的に問題なくても、遺贈寄付の事実を家族が死後に知るとトラブルになることがあります。生前に家族と話し合い、遺贈の意思を伝えておくことがトラブル回避につながります。
税制上の優遇措置を活用
寄付先が国・地方自治体、認定NPO法人、公益社団法人などの場合、寄付財産は相続税の課税対象外となることがあります。節税効果のためにも寄付先は慎重に選びましょう。
遺贈寄付は法的・税務的な配慮と家族・寄付先との調整が欠かせません。早めに専門家と相談し、遺留分や寄付先の受け入れ状況を確認しながら、丁寧に準備を進めることが成功のポイントです。あなたの大切な遺産が確実に社会貢献に役立つよう、慎重に進めましょう。
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人生の最後にできる社会貢献の一つに、「遺贈寄付」があります。人生の締めくくりとして、自分の財産を通じて社会に貢献するという選択は、あなたの人生をより豊かに、意義あるものにしてくれるはずです。
また、適切な実行には、遺言書の作成をはじめとする法的な準備や税務面での配慮が必要です。専門家のサポートを受けながら進めることで、安心して想いを託すことができます。
相続は財産の大小に関わらず、すべての方に関係する大切な問題です。相続の専門家が在籍する、みらいえ相続グループへお気軽にご相談ください。
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