相続税申告
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一般のお客様から相続サポートしている人まで幅広く役立つ相続に関する知識をわかりやすくご紹介しています。
佐藤 智春
相続手続きは複雑で様々な税金が発生するため、面倒で難しいイメージを持っている方が多いでしょう。
特に不動産を相続した場合、売却時にかかる税金は悩みの種です。
実際にどのくらいの税金がかかるのか、また税金を抑える方法があるのはご存知でしょうか。
この記事では、相続した不動産を売却した時に発生する税金の種類や節税方法、売却時の注意点について説明していきます。
最後まで読めば、相続した不動産の売却にかかる税金額のめやすを把握できるようになり、実際に手続きを進められるようになるでしょう。
まずは相続発生から不動産を売却するまでの、一連の流れは以下の6ステップです。
順に説明します。
相続が発生したあと、被相続人(亡くなった人)の遺産を誰にどのような形でいくら分配するのかを決定するのが遺産分割協議です。
あらかじめ被相続人の財産について調査を行い、財産目録と呼ばれる一覧を作成します。
作成した表に基づいて話し合いを行いますが、遺言書がある場合は遺産分割協議は基本的に不要となり、遺言書に基づいた形で分配を行います。
遺産の配分が公平になるように調整をして相続人一人で不動産を取得するか、不動産を売却して現金化した上で決定した割合に基づいて分配することになります。
また、遺産分割協議により決定した事項は、遺産分割協議書に記録する必要があります。
>遺産分割協議書について詳しく知りたい方はこちら
土地を売却する場合には、不動産の名義を相続する人の名義に変更しなければなりません。法務省に登記申請書を提出し手続きを行います。
売却をする場合には、まず不動産会社にいくらで売れるのか査定を依頼し目安を知るのが一般的です。
査定額に基づいて売却価格を設定します。
不動産の買い手を自力で見つけるのが容易でないため、一般的には不動産会社に依頼し売却活動を行うことになります。
媒介契約を結ぶことで約3ヶ月間、売却するための集客や書類作成、契約手続きを代行してもらえます。
買い手が決まったら売買契約を交わし、代金受け取り後不動産の引き渡しを行えば手続きは完了です。
土地の売却ができたら、遺産分割協議で決定した分割割合に基づいて、売却金額を分配します。
売却に伴う税金についても相続人全員で公平に支払うことになります。
不動産売却に伴い利益が出た場合には、確定申告が必要です。
利益が出なかった場合は必要ありません。
相続した不動産を売却すると実際どのような税金がかかるのでしょうか。
ここでは不動産売却時に発生する税金の種類や計算方法について説明します。
不動産の名義変更に伴い発生する税金です。登記内容を変更する際、法務局に支払います。計算方法は以下です。
「不動産価額」は売却が決定した価格ではなく、市町村で管理している固定資産課税台帳の価格となるため、固定資産納税通知書に記載の金額を確認しましょう。
不動産価額が5,000万であれば、5,000×0.4%=20万円が納税額です。
課税文書と呼ばれる書類には所定の印紙を貼らなければなりません。
売買契約書も課税文書の一つです。
売却金額に応じて以下のように税額が変わります。
契約金額 | 印紙税額 | 軽減税額 |
---|---|---|
100万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
なお、平成26年4月1日から令和4年3月31日までは軽減税率が適用されています。
例えば3,000万円で不動産を売却した場合に、印紙税額は2万円(軽減税率適用で1万円)です。
譲渡所得税とは、不動産を売却した後に出た利益に対してかかる税金です。
譲渡所得税は譲渡所得税・住民税・復興特別所得税に分けられ、以下の計算式で求められます。
売却金額そのものではなく、「譲渡所得」の金額によって納税額が変わります。
ゆえに売却しても利益がでていなければ、納税額はゼロになります。
以下のように計算します。
取得費は売却する不動産を購入する際にかかったお金で、購入代金や購入手数料、登録免許税などが含まれます。
譲渡費用は不動産を売るためにお金で、不動産会社に支払う仲介手数料や印紙税などが含まれます。
税率は以下のように所有期間に応じて変わります。
区分 | 所有期間 | 所得税率 | 住民税率 | 復興特別所得税率 |
---|---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% | 0.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% | 0.315% |
以下の条件で税額がいくらになるのか計算してみましょう。
売却金額:5,000万ー(取得費:3000+12=3,012万円 + 譲渡費用:100万円)=1,888万円が「譲渡所得」になります。「税率」は購入から10年後の場合、長期譲渡所得の税率が適用されます。
譲渡所得税は1,888万円×15%=283.2万円
住民税1,888万円×5%=94.4万円
復興特別所得税1,888万円×0.315%=5.9万円
合計383.5万円が納税額となります。
不動産を売却して利益が出た場合にかかる税金は安くありません。
そのため、うまく節税して納税額を抑えたいと考える人は多いでしょう。
ここでは不動産売却時に活用できる節税方法として、国が認めている控除や特例を中心に説明していきます。
なお特例や控除の詳細な適用条件については国税庁HPを確認してください。
>国税庁の公式WEBサイトはこちら
一定の条件を満たすと利用できる控除や特例を紹介します。
不動産を相続した時にかかる相続税の一定額を、譲渡所得を求める際の取得費用に含められるという制度です。
制度を適用するには、以下の条件を満たす必要があります。
引用:国税庁HP
居住用のマイホームを売却した場合に、譲渡所得から3,000万円差し引いて税率を計算できる制度です。
あくまで居住用のマイホームが対象となるため、店舗や賃貸している物件などは適用対象外となります。
10年以上所有している家を売却した場合に税率が軽減される制度です。
居住用のマイホームのみ対象となっており、「居住用の家を売却した場合の3,000万円控除」と併用できますので覚えておきましょう。
以下の基準で適用されます。
平成21年度に購入した土地を平成27年度以降に売却した場合、または平成22年度に購入した土地を平成28年度に売却した場合に譲渡所得の額から1,000万円を控除できる特例です。
適用するためには以下の条件を満たす必要があります。
引用:国税庁HP
相続によって取得した家屋または土地が空き家だった場合に、一定の要件に当てはまれば譲渡所得の金額から3,000万円を控除できる制度です。
売却代金が1億円以上になる時や売却相手が親子や夫婦の場合は適用できませんので注意してください。
令和2年7月1日から令和4年12月31日までの間に、都市計画区域内にある一定の低未利用土地等を500万円以下で売却した場合に、譲渡所得の金額から100万円を控除できる特例です。
所有期間が5年未満の場合や、売却相手が親子や夫婦、内縁関係や特殊な関係のある法人の場合には適用されません。
控除や特例以外の節税方法を紹介します。
譲渡所得の計算をする上で取得費がわからない場合は、売却価格の5%を概算取得費として計算します。
古い物件の場合で売却価格がわからない場合には便利な制度ですが、10〜20年以内に購入した物件であれば実際の取得費がわかった方が取得日に計上できる金額は大きくなる可能性は高いでしょう。
売買契約書以外にも、住宅ローンの契約書や通帳の履歴などをもとに、購入価格が推定できるものがないか調べましょう。
譲渡費用には以下のようなものも計上できます。
細かいものでも確認し課税対象となる譲渡所得を引き下げましょう。
相続した不動産を売却して利益が出た場合には確定申告が必要です。
個人事業主の方であれば毎年必要になる確定申告ですが、サラリーマンや主婦の方などは馴染みがないことも多いため注意しましょう。
以下で必要書類や全体的な流れについて説明します。
申告時には、以下のような必要書類を税務署に提出する必要があります。
特例や控除を適用する場合は別途書類が必要になる可能性がありますので注意しましょう。
以下のような流れで確定申告を進めます。
途中で行き詰まってしまった場合は専門家に相談するべきです。
計算を間違えてしまったり、申告漏れがあると追徴課税のような罰則を受ける可能性がありますので手続きは慎重に行いましょう。
相続で取得した不動産を売却する際の注意点をまとめました。
スムーズに手続きが進められるよう、売却手続きの前に確認しておきましょう。
売却に伴い発生する税金は相続した人全員が確定申告を行い支払う必要があります。
相続人が複数おり、売却して現金化してから分割する場合は、一度代表者に名義を移します。
登録免許税や印紙税については一度代表者がまとめて支払っておき、あとで支払った分を相殺するケースが多いです。
不動産を売却して現金化する場合には複数の当事者がいるため、売却価格を始め売却のプロセスについても揉めるケースがあります。
遺産分割協議を通して、売却時に一時的に所有する代表者や不動産売却のスケジュールについてはあらかじめ共有しておくことがとても重要です。
権利関係が複雑になっている不動産の場合、なかなか買い手が見つからないことがあります。
土地の境界線については法務局へ、抵当権については住宅ローンを組んだ金融機関に問い合わせてみましょう。
不動産の売却価格査定額は依頼する不動産業者によっても異なります。
業者ごとに売却の方針やサービスも異なりますので、良い担当者に出会うためにも相続専門の不動産業者に依頼するのがおすすめです。
不動産を相続した場合には、いずれ売却するとしてもいったん名義を変更しなくてはなりません。
名義変更の手続き方法について紹介します。
法律で決められた順位と割合に基づいて相続する方法です。
主に以下の書類が必要になり、手続きは法務局で行います。
遺言が残されている場合には遺言に記載の内容に基づいて遺産分割を行います。
主に以下の書類が必要になります。
手続きは法務局で行いますが、遺言書が有効であることを確認するために、家庭裁判所での検認が必要となる場合がありますので注意してください。
遺産分割協議を行った場合は、話し合いで相続人全員が合意した内容に基づいて相続手続きを進めることになります。
主に以下の書類が必要となり、法務局で手続きを行います。
相続した不動産の売却に伴い発生する税金の種類や節税方法、実際の名義変更や確定申告の流れなどについて説明しました。
売却に伴い発生する税金は大きく分けて、譲渡所得税・登録免許税・印紙税の3つです。特例や制度を用いることで節税が可能ですが、適用条件はそれぞれ異なっていますので注意しましょう。
不動産売却で利益が出た場合は、相続人全員で相続税の支払いを行います。手続きをスムーズに進めるためにも相続専門の不動産業者に査定を依頼することや売却スケジュールを親族間で共有することが重要です。
相続が発生した場合には、本記事を参考にどのくらいの税金が発生するのか確認してみてください。
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