ご相談事例

2020.09.29

相続手続き

今年の4月1日から民法改正に伴い「配偶者居住権」という権利が認められるようになりました。

「配偶者居住権」とは、配偶者がそのまま自宅に住み続けることができる権利です。不動産の所有権を「居住権」と「所有権」に分けて、それぞれ別の人が相続することが出来るようになったのです。
実は、この権利が出来た頃は、配偶者居住権は相続人間の仲が悪い場合などに使うことがあるか
どうかくらいで、あまり、適用になる方はいらっしゃらないと思っていました。

しかし、相続税申告が必要なお客様とのご面談の際に、先日父の相続について、
遺産をどのように相続するべきか、母の2次相続も踏まえ様々なシミュレーションを行ったときのことです。

相続人は、配偶者、Aさん、弟のBさんの3人です。

Aさんからのご相談内容
①母に自宅に住み続けて欲しい

②自宅はいずれ大規模リフォームが必要になるが、そのお金はAさんが管理したい

③リフォームした後に自分たちも同居したい

④相続税を抑えたい

みらいえ相続税理士法人からのご提案
この条件を叶えることは通常容易ではありません。
母が自宅を相続すると、その自宅のリフォーム費用は母が負担しなければなりません。
そうすると、多くの預貯金を母が相続することとなり、2次相続の際には相続税が高く
なってしまいます。もし、Aさんがリフォーム代を負担してしまった場合には、Aさんから
母へ贈与があったものとみなされ贈与税がかかることになります。

そこで今回は、この配偶者居住権を使って、母には「配偶者居住権」を、Aさんには
「所有権」をそれぞれ取得してもらう提案をさせて頂きました。
こうすることで、母は自宅に住み続けることができ、リフォームは所有者であるAさん主導の
もと検討し、費用負担をすることが出来るようになります。

また、配偶者居住権部分は小規模宅地の特例が使えるとともに、母が亡くなった際には、
配偶者居住権は配偶者の死亡により消滅するため、母の相続財産にはならないので、
ちょうどAさんのご希望に叶う提案となりました。
今後もすべての方に適用できる制度ではありませんが、相続財産の分割の際の一つの提案材料になりそうです。

2024年相続税担当申請実績 222件 過去15年間の税務調査率 0.001%
相続専門税理士 佐藤智春
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