2020.09.29
相続手続き
「配偶者居住権」とは、配偶者がそのまま自宅に住み続けることができる権利です。不動産の所有権を「居住権」と「所有権」に分けて、それぞれ別の人が相続することが出来るようになったのです。
実は、この権利が出来た頃は、配偶者居住権は相続人間の仲が悪い場合などに使うことがあるか
どうかくらいで、あまり、適用になる方はいらっしゃらないと思っていました。
しかし、相続税申告が必要なお客様とのご面談の際に、先日父の相続について、
遺産をどのように相続するべきか、母の2次相続も踏まえ様々なシミュレーションを行ったときのことです。
相続人は、配偶者、Aさん、弟のBさんの3人です。
Aさんからのご相談内容
①母に自宅に住み続けて欲しい
②自宅はいずれ大規模リフォームが必要になるが、そのお金はAさんが管理したい
③リフォームした後に自分たちも同居したい
④相続税を抑えたい
みらいえ相続税理士法人からのご提案
この条件を叶えることは通常容易ではありません。
母が自宅を相続すると、その自宅のリフォーム費用は母が負担しなければなりません。
そうすると、多くの預貯金を母が相続することとなり、2次相続の際には相続税が高く
なってしまいます。もし、Aさんがリフォーム代を負担してしまった場合には、Aさんから
母へ贈与があったものとみなされ贈与税がかかることになります。
そこで今回は、この配偶者居住権を使って、母には「配偶者居住権」を、Aさんには
「所有権」をそれぞれ取得してもらう提案をさせて頂きました。
こうすることで、母は自宅に住み続けることができ、リフォームは所有者であるAさん主導の
もと検討し、費用負担をすることが出来るようになります。
また、配偶者居住権部分は小規模宅地の特例が使えるとともに、母が亡くなった際には、
配偶者居住権は配偶者の死亡により消滅するため、母の相続財産にはならないので、
ちょうどAさんのご希望に叶う提案となりました。
今後もすべての方に適用できる制度ではありませんが、相続財産の分割の際の一つの提案材料になりそうです。