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遺志をつなぐ寄附の実現に向けて

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佐藤 智春

はじめに

相続財産の一部を社会貢献のために寄附したいとお考えになる方がいらっしゃいます。「お世話になった母校に寄附したい」「医療研究に役立ててほしい」「困っている人々のために使ってほしい」そんな故人の想いを実現することは、遺された方々にとっても意義深いことです。

今回は、故人の遺志による寄附を実現させる方法についてと、それに伴う相続税の優遇措置について、ポイントを解説いたします。

 


 

故人の遺志による寄附を実現する方法

1. 遺言書による寄附
故人が正式な遺言書で寄附の意思を遺言書に明記している場合、故人の遺志に従って寄附ができます。

2. 相続人による寄附
遺言書がない場合は、相続の手続きを行い、相続人が財産を取得した後、相続人の判断により寄附ができます。故人が生前に「寄附したい」と話していても、相続人にその意思がなければ寄附は行われません。つまり、相続人による寄附は、故人の生前の意思を相続人が汲み取って行う寄附という事になります。

 


 

相続人が寄附する場合の相続税の優遇措置について

相続人が相続財産から寄附をする場合、下記条件で相続税がかからない「非課税」となることがあります。

非課税となる寄附の条件
・寄付した財産が、相続や遺贈で受け取ったそのままの財産であること。
※現金に換えた場合は対象外です!
・相続税の申告期限までに寄附する事。(亡くなった日から10か月が経つ日)
・寄付先が、国や地方公共団体、または教育・科学などの分野で社会に大きく貢献していると認められた特定の公益法人等であること。

非課税対象となる主な寄附先の例
・日本赤十字社
・財団法人日本ユニセフ協会
・国境なき医師団
・公益法人がん研究会
・国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン
・公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 等

他にも、学校法人や公益団体などが非課税の対象になることがあるので、事前の確認をしてください。なお、寄附名目であれば、財産の種類や寄附先に関係なく相続税等が非課税となる訳ではありません。特に相続人が寄附する場合には、限られた期間の中で、相手方や財産の選定をした上で実行しなければなりません。慎重かつ迅速に行いましょう。

 

 


 

寄付金控除の制度について

相続人が財産を受け取った後に寄附を行う場合は、「寄附金控除」という制度が活用できるかもしれません。これは、寄附金額の一部が所得税・住民税の計算時に控除されるという制度です。寄附の内容によって「所得控除」と「税額控除」のどちらかを選択できます。

所得控除:寄附金額を所得から差し引いて税金を計算する方式
税額控除:計算された税額から直接寄附金額の一定割合を差し引く方式

寄附先によって控除対象範囲や控除率が異なります。寄附をした時の控除の内容等詳細は、寄附先の団体のホームページなどでご確認ください。

 


 

寄附を実現するために

ご自身の「財産を寄附してほしい」という思いを確実に実現させるためには、冒頭にもありますが、生前に遺言書の作成が必要です。「どこに、何を、どれくらい寄附するか」という内容を、遺言書に残しておきましょう。

故人の遺志による寄附は、大切な想いを形にし、社会に貢献できる意義深い行為です。教育、医療、福祉など、さまざまな分野で多くの方々の役に立つことができます。

もし生前に「財産の一部を寄附したい」とお考えの場合は、ぜひ早めに相続税の専門税理士にご相談ください。みらいえ相続にご相談いただければ、相続専門税理士がおりますので、お客様のご意向を丁寧にお伺いした上で、税金面にも配慮した遺言書の作成をサポートいたします。残したい思いがある方は、是非ご相談くださいませ。

参考文献:国税庁HP No.4141「相続財産を公益法人等に寄附した場合」

 


 

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[監修]

佐藤 智春代表 税理士・行政書士

経歴:仙台大原簿記専門学校卒業後、宮城県で最年少税理士登録。20年以上の実務経験を持ち相続専門税理士として数多くの案件を手がける。(2024年相続税申告実績/222件) 相続専門税理士佐藤智春は税理士の日(2月23日)に産まれ、二次相続はもちろん、三次相続までサポートできます。多くの案件をこなしているからこそ三次相続まで見据えた遺産の分け方を提案しています。

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