路線価図の見方
評価方法
税理士が解説!
相続税申告のための評価方法
01評価について
①財産の評価
財産の評価は、課税時期(相続や贈与等により財産を取得した日等)の財産の時価によりますが、時価は、原則として財産評価基本通達の定めによって評価した価額になります。
②共有財産
共有財産は、その財産の価額を共有者持分に応じてあん分した価額で評価します。区分所有財産は、各部分の使用収益等の状況を勘案して計算した各部分に対応する価額で評価します。
③外貨建財産等の円換算
外貨建財産等の円換算は、原則として取引金融機関が公表する課税時期における電信買相場(T.T.B)によります。
④国外財産
国外財産も、財産評価通達の定めによって評価しますが、それができない財産は、この通達に定める評価方法に準じて、または売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価することになります。
02不動産
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STEP1
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STEP2
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STEP3
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STEP4
土地の評価について解説します。
STEP1 路線価地域か倍率地域かを確認する
相続税路線価は、国税庁のホームページ「財産評価基準書 路線価・評価倍率表」を使って調べます。
路線価地域か倍率地域かを確認します。路線価図を確認して、路線価図があれば「路線価地域」なければ「倍率地域」です。
国税庁のホームページ「財産評価基準書 路線価・評価倍率表」はこちら
評価方法 | 計算式 |
路線価方式 | 相続税路線価×土地の面積 |
倍率方式 | 固定資産税評価額×倍率 |
路線価方式
倍率方式
評価倍率表の見方
STEP2 減額できるか検討する…専門的な知識が必要です!
減額が検討できる事
不整形地
地積規模の大きな宅地
がけ地を含む土地
がけ地補正率は、東西南北の各斜面ごとに補正率が定められており、がけ地の方位は以下より判定します。
1:がけ地の方位は、斜面の向きによる
2:2方位以上のがけ地がある場合は、次の算式により計算した割合をがけ地補正率とする。
3:下記の表に定められた方位に該当しない「東南斜面」などについては、がけ地の方位の東と南に応ずるがけ地補正率を平均して求めることとして差し支えない。
がけ地補正率表
がけ地地積 | 総地積 | 南 | 東 | 西 | 北 |
0.10以上 | 0.96 | 0.96 | 0.96 | 0.96 |
0.20 〃 | 0.92 | 0.92 | 0.92 | 0.92 |
0.30 〃 | 0.88 | 0.88 | 0.88 | 0.88 |
0.40 〃 | 0.85 | 0.85 | 0.85 | 0.85 |
0.50 〃 | 0.82 | 0.82 | 0.82 | 0.82 |
0.60 〃 | 0.79 | 0.79 | 0.79 | 0.79 |
0.70 〃 | 0.76 | 0.76 | 0.76 | 0.76 |
0.80 〃 | 0.73 | 0.73 | 0.73 | 0.73 |
0.90 〃 | 0.70 | 0.70 | 0.70 | 0.70 |
セットバックが必要な土地
その他の土地
都市計画道路の予定区域内に位置する土地、高圧線下の土地、土壌が汚染されている土地、地下鉄直上の土地、埋蔵文化財がある土地なども、評価が減額されやすい傾向があります。
私道の評価
- ●不特定多数の者が使用している場合:評価しない
- ●特定の者が使用している場合:この宅地が私道でないものとして路線価方式または倍率方式で評価し、その評価額の30%相当額で評価する
調整率の種類土地の形状にもとづく補正
奥行価格補正
対象の土地の奥行が、一般的な土地と比べて長い場合に補正するものです。図のように、同じ900㎡の土地であっても、Bの土地はAの土地に比べて接道部分が短く奥に長いので、使い勝手が悪く、利用価値も低いです。
奥行価格補正率表
不整形地補正
土地がいびつな形状の場合に補正するものです。 土地は正方形や長方形が使い勝手がよく、利用価値も高いです。一方、三角形の土地やいびつな土地は使い勝手が悪く、利用価値も低いです。図のように、同じ900㎡の土地であっても、Bの土地はAの土地に比べて使い勝手が悪く、利用価値も低いです。
不整形地補正率表
地区区分表
間口狭小補正
間口が狭いと、道路と土地の行き来がしずらく、使い勝手が悪く、利用価値も低くなります。図のように、同じ600㎡の土地であっても、Bの土地はAの土地に比べて使い勝手が悪く、利用価値も低いです。
間口狭小補正率表
奥行長大補正
間口の幅が狭いにもかかわらず奥行が長い場合に適用できる補正率です。奥行長大補正率をかけることで、Bの土地を減額し、使い勝手を考慮した適切な評価額にします。
奥行長大補正率表
奥行価格補正率表
がけ地補正
平らな部分と通常の用途に利用できないと認められるがけ地部分が一体となっている宅地に適用される補正率です。がけ地補正率をかけることで、平らな土地に比べて減額をし、使い勝手を考慮した適切な評価額にします。
がけ地補正率は、東西南北の各斜面ごとに補正率が定められており、がけ地の方位は以下より判定します。
1:がけ地の方位は、斜面の向きによる
2:2方位以上のがけ地がある場合は、次の算式により計算した割合をがけ地補正率とする。
3:下記の表に定められた方位に該当しない「東南斜面」などについては、がけ地の方位の東と南に応ずるがけ地補正率を平均して求めることとして差し支えない。
がけ地補正率表
がけ地地積 | 総地積 | 南 | 東 | 西 | 北 |
0.10以上 | 0.96 | 0.96 | 0.96 | 0.96 |
0.20 〃 | 0.92 | 0.92 | 0.92 | 0.92 |
0.30 〃 | 0.88 | 0.88 | 0.88 | 0.88 |
0.40 〃 | 0.85 | 0.85 | 0.85 | 0.85 |
0.50 〃 | 0.82 | 0.82 | 0.82 | 0.82 |
0.60 〃 | 0.79 | 0.79 | 0.79 | 0.79 |
0.70 〃 | 0.76 | 0.76 | 0.76 | 0.76 |
0.80 〃 | 0.73 | 0.73 | 0.73 | 0.73 |
0.90 〃 | 0.70 | 0.70 | 0.70 | 0.70 |
調整率の種類接道の状況にもとづく補正
側方路線影響加算率
交差点や道路の角にあるような、複数の道路に接している場合に適用される補正率です。
地域区分 | 加算率 | |
---|---|---|
角地の場合 | 純角地の場合 | |
ビル街 | 0.07 | 0.03 |
高度商業、繁華街 | 0.10 | 0.05 |
普通商業・併用住宅 | 0.08 | 0.04 |
普通住宅地区、中小工場 | 0.03 | 0.02 |
大工場 | 0.02 | 0.01 |
二方路線影響加算率
土地の表側と裏側の両方に道路があり、土地が2つの道路で挟まれている場合に適用させる補正率です。
地域区分 | 加算率 |
ビル街 | 0.03 |
高度商業、繁華街 | 0.07 |
普通商業・併用住宅 | 0.05 |
普通住宅地区、中小工場 | 0.02 |
大工場 | 0.02 |
STEP3 賃貸されているかどうかを確認する
減額が検討できる事
借地権(借りている土地)
記号 | 借地権割合 |
A | 90% |
B | 80% |
C | 70% |
D | 60% |
E | 50% |
F | 40% |
G | 30% |
貸宅地(貸している土地)
貸家建付地(賃貸目的の建物を建てた土地)
定期借地権など建物を建てるために一定の期間を定めて他人から土地を借りる権利
STEP4 小規模宅地の特例の適用を確認する
宅地の種類 | 限度面積 | 減額割合 |
特定居住用宅地 | 330㎡ | 80% |
特定事業用宅地 | 400㎡ | 80% |
貸付事業用宅地 | 200㎡ | 50% |
特定同族会社事業用宅地 | 400㎡ | 80% |
※小規模宅地の特例の適用については、細かく要件がありますので、取得する人によって適用できるかどうかが異なりますので注意してください。
03家屋
自用家屋 | 固定資産税評価額×1.0 |
貸家 | 自用家屋評価額×(1-借家権割合※30%×賃貸割合) |
04有価証券
有価証券 | 内容 | 計算方法 |
上場株式 | 株式が公開されており、市場で取引されている株式市場で取引されている株式 |
①課税時期の最終価格 |
非上場株式 | 株式が公開されていない、一般の評価会社の株式 | 会社の規模や保有株数によって評価 |
公社債 | 国、地方公共団体などにより、発行される債権 | 最終価格(市場価格)額面金額100円あたりの単価で評価する |
05預貯金
普通預金(貯金)
課税時期の預入高 ※既経過利息は申告不要
定期預金(貯金)
課税時期の預入高+既経過利子の額-源泉徴収税額
死亡日時点の残高に既経過利息を加えた額
06その他
死亡保険金(みなし相続財産)
・保険料負担者:被相続人
・被保険者:被相続人
・保険料受取人:相続人など
受け取った生命保険金の金額 ※生命保険の非課税枠が使えます。
生命保険契約に関する権利(みなし相続財産)
・保険事故未発生
・保険料負担者:被相続人
・被保険者:被相続人以外
・契約者:被相続人以外
課税対象者:契約者 解約返戻金の金額 ※掛け捨て保険は対象外
被保険者ではない保険契約者が死亡した場合
・保険事故未発生
・被保険者:被相続人以外
・保険料負担者:被相続人
・契約者:被相続人
本来の財産として遺産分割協議の対象です。解約返戻金の金額
定期金(年金)の評価方法
A 有期定期金:次の①〜③のいずれか多い金額
①解約返戻金の金額
②定期金に代えて一時金の給付を受けることが出来る場合には当該一時金の金額
③(給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額)×(残存期間に応ずる予定利率による複利年金現価率)
B 無期定期金:次の①〜③のいずれか多い金額
①、②は有期定期金(A)と同じ
③(給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額)÷(予定利率)
C 終身定期金:次の①〜③のいずれか多い金額
①、②は有期定期金(A)と同じ
③(給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額)×(終身定期金に係る定期金給付契約の目的とされた者の平均余命に応ずる予定利率による複利年金現価率)