相続不動産の分割協議について

相談者：父の遺産として、不動産を相続することになったのですが、兄弟で取得割合について意見が分かれています。売却はしたくないのですが、どうしたらよいでしょうか？

佐藤：不動産は現金のように分けやすいものではないので、割合の調整が難しいですよね。まず、どなたがどの程度の割合で取得を希望されていますか？

相談者：兄は半分ずつにするのが公平だと言っています。でも、私は父と同居していたので、この家に住み続けたいんです。ただ、兄からはそれなら私の分を買い取ってほしいと言われています。でも、まとまった現金を用意するのは難しくて……。

佐藤：売却せずに解決する方法としては、共有又は代償分割が考えられます。共有は名義を半分ずつにする方法でお互いに権利を持つ形になります。

相談者：でも、共有だと後々揉めると聞いたことがあります……。

佐藤：そうですね、共有は将来的にトラブルの原因になりやすいです。たとえば、リフォームや売却をしたくても、お兄様の同意が必要になります。

相談者：それは困ります。じゃあ、私が全部相続する方法はありますか？

佐藤：はい、代償分割で不動産を相談者様が単独で取得してお兄様には代償金をお支払いする方法が有ります。まとまった金額を用意することが難しい場合は不動産以外の財産をお兄様に多く取得してもらうことで実際に支払う代償金の金額を減らすことが出来ます。

相談者：父名義の預貯金が有りますので兄に全部取得してもらっても良いと思っています。不足している分は用意ができそうです。

佐藤：取得する財産の金額が公平であればお兄様もご納得していただけそうですね。

相談者：ありがとうございます。兄に伝えて納得してもらったら改めてご連絡いたしますので、その他に必要な相続手続きのサポートをお願い致します。

佐藤：はい、ご連絡をお待ちしております。

「2025年3月号シルバーネット掲載」