01相続株式を解約するとは

相続した株式の換価・売却とは

相続により引き継いだ株式を現金化することを「株式の換価・売却」と呼びます。この手続きは、株式をそのまま保有せず、証券会社を通じて売却し、相続人間で現金を分配する際に行われることが一般的です。

株式の換価には、以下のようなステップが含まれます

  • 証券会社での売却手続き
  • 売却タイミングの決定
  • 売却金額の受領

売却した現金は相続財産として扱われ、遺産分割協議書に基づいて分配されます。特に相続税申告の際、株式の評価額が申告対象となるため、売却手続きが遅れると税務上の影響が生じる可能性があります。

解約が必要なケース

株式を解約(売却)する必要がある主なケースは以下の通りです

現金で分配したい場合

株式を相続人間で分割するのが難しい場合、現金化して分配するのが効率的です。

株式保有リスクを回避したい場合

株価の変動リスクを避けたい場合、早期に売却して現金化する選択肢があります。

相続税の納税資金を確保したい場合

株式をそのまま保有していると納税資金が不足する場合があります。売却して現金を準備することが一般的です。

非上場株式を整理したい場合

非上場株式は換金性が低いため、相続人間での買取や第三者への売却が必要になることがあります。

解約のメリット・デメリット

株式を解約することには、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット デメリット
現金化することで遺産分割が容易になる 株式を売却するタイミング次第で売却価格が変動するリスクがある
相続税や納税資金を確保できる 売却に伴う手数料や税金が発生する
株価の変動リスクを回避できる 将来的な株価上昇の機会を失う可能性がある

株式を解約することで、相続手続きが円滑に進む一方、売却のタイミングや手続き方法によっては注意が必要です。売却を検討する際には、相続人全員の意向を確認し、税務や手数料を含めた総合的な判断を行うことが重要です。手続きが複雑な場合は、専門家に相談することでスムーズな進行を図ることができます。

02解約前の確認事項

株式の解約手続きをスムーズに進めるためには、事前に確認すべき事項を正確に把握しておくことが重要です。株式の種類や保有証券会社、相続人間の意向を明確にすることで、手続きの流れや必要書類を適切に準備することが可能になります。以下に、解約前に確認すべき3つのポイントを詳しく説明します。

株式の種類(上場・非上場)

株式の解約手続きは、対象の株式が上場株式か非上場株式かによって異なります。そのため、まずは株式の種類を確認することが大切です。

上場株式

証券取引所で取引される株式です。市場価格があるため、解約(売却)は比較的容易に行えます。証券会社の取引システムを通じて売却手続きが進み、売却価格も市場の動向によって決まります。市場での流動性が高いため、納税資金の準備や相続人間での現金分配が必要な場合に適しています。

非上場株式

上場していない企業の株式で、取引市場が存在しません。そのため、売却先を個別に探す必要があります。売却の際には、会社や他の株主、第三者への譲渡が主な選択肢です。売却価格は、会社の業績や資産価値に基づいて決定されるため、株価算定や交渉が必要となります。

株式の種類により、解約にかかる期間や手間が大きく異なるため、早めに種類を特定しておくことが重要です。

保有証券会社の確認

相続した株式がどの証券会社で管理されているかを確認します。証券会社ごとに手続きの詳細が異なるため、解約をスムーズに進めるための第一歩となります。

確認方法
  • 被相続人が保有していた証券会社の契約書や取引明細を確認します。
  • 株式関連の通知書や郵便物から保有証券会社を特定します。
  • 被相続人の銀行口座の取引履歴を調べ、証券会社との取引がないか確認するのも有効です。
複数の証券会社に分散している場合

被相続人が複数の証券会社を利用している場合、それぞれの証券会社で個別に解約手続きが必要です。この場合、事前にすべての証券会社の情報を整理しておくことで、手続きが効率化されます。

相続人全員の意向確認

株式の解約手続きでは、相続人全員の同意が必要です。遺産分割協議書を作成し、解約後の分配方法について合意を得ることで、後のトラブルを防ぐことができます。

解約と分配方法の選択
  • 株式を現金化し、相続人間で分配する方法が一般的です。
  • 特定の相続人が株式を取得し、代わりに現金や他の財産を分配する「代償分割」も選択肢となります。
意見が分かれた場合の対応

相続人間で意見が一致しない場合は、専門家(弁護士、税理士、行政書士)を交えて協議を進めるとスムーズです。特に株価が変動しやすい上場株式の場合、売却タイミングについても慎重な検討が求められます。

トラブル防止のポイント

解約手続きを進める前に相続人全員が同意しておくことで、後から発生する可能性のあるトラブルを未然に防ぐことができます。

03上場株式の解約手続き

証券会社での解約手順

上場株式を相続した場合、その売却(解約)は証券会社を通じて行います。解約手続きは、相続手続きが完了した後に進めることが基本です。以下に、具体的な解約手順を説明します。

相続手続き完了後の売却方法

相続手続きが完了した後、証券会社を通じて株式の売却を進めます。以下は一般的な手続きの流れです。

手続きステップ 詳細内容
1. 相続手続き完了 必要書類(遺産分割協議書、戸籍謄本、印鑑証明書など)を証券会社に提出し、株式の名義変更を行います。
2. 売却注文の実行 証券会社の窓口または取引システムで売却注文を出します。売却注文は成行注文または指値注文で指定します。
3. 売却金の受領 売却代金は指定した相続人代表者の銀行口座に振り込まれます。振込までに数日かかる場合があるため、事前に確認しましょう。
売却のタイミング

売却するタイミングは、相続人全員の意向や市場動向を考慮して決定します。適切なタイミングで売却することで、売却益を最大化できる可能性があります。

株価の動向を確認

売却時の株価が相続時の評価額を上回る場合、売却益が発生します。逆に株価が下がると損失が出る可能性があるため、市場動向を慎重に確認しましょう。

配当基準日との関係

配当基準日前に売却すると、配当金を受け取れない場合があります。配当を受け取る場合は、基準日以降に売却するよう調整します。

相続税申告期限を考慮

相続税申告の納税資金を確保する必要がある場合、申告期限(死亡後10ヶ月以内)を意識して売却を進めます。

売却価格の決定方法

株式の売却価格は、証券取引所での市場価格を基準に決まります。売却価格を適切に設定することで、取引の成立をスムーズに進めることが可能です。

成行注文

市場での最良価格で売却する方法です。即時売却が可能ですが、価格が変動するリスクがあります。

指値注文

売却価格を指定して注文する方法です。希望価格で売却できますが、価格条件が合わない場合は取引が成立しないことがあります。

価格設定のポイント

市場価格や取引量を参考に、現実的な価格を設定することが重要です。証券会社の取引画面や担当者に相談すると良いでしょう。

上場株式の解約手続きは、証券会社での手続きが中心となります。相続手続き完了後に売却方法を決定し、タイミングや価格設定を慎重に行うことでスムーズに進められます。以下のポイントを押さえておきましょう

  1. 必要書類の準備と証券会社への提出。
  2. 売却タイミングを市場状況や配当基準日を考慮して選定。
  3. 成行注文または指値注文の特徴を理解して売却価格を設定。

適切な手続きを行うことで、相続人全員が納得する形で遺産を分配できます。不明点がある場合は証券会社の担当者に相談し、安心して手続きを進めましょう。

必要書類の準備

上場株式の解約手続きを進めるためには、証券会社が指定する書類を正確に準備する必要があります。書類が不足すると手続きが遅れるため、事前に必要書類を確認し、余裕を持って準備しましょう。以下は一般的に必要となる書類とその概要です。

書類名 説明 取得先
相続手続き完了証明書 相続手続きが完了したことを証明する書類で、証券会社が発行します。株式の名義変更手続き後に発行されることが一般的です。 株式を保有する証券会社
本人確認書類 相続人全員の身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)が必要です。コピーの提出が求められる場合があります。 市区町村役場または保有する本人確認書類
印鑑証明書 相続人全員の印鑑証明書が必要です。有効期限は発行日から3ヶ月以内が一般的です。 相続人の住所地を管轄する市区町村役場
売却依頼書 売却に関する指示を記載した証券会社所定の用紙です。株式数や売却価格などの情報を記入します。 株式を保有する証券会社の窓口または公式ウェブサイト
各書類の詳細と注意点
  1. 相続手続き完了証明書
    証券会社が株式の名義変更を完了した後に発行します。この書類が発行されないと、売却手続きを進めることができないため、証券会社に早めに申請してください。
  2. 本人確認書類
    有効期限が切れていないか事前に確認してください。一部の証券会社では原本確認後にコピーの提出を求める場合もあります。
  3. 印鑑証明書
    相続人全員分を用意する必要があります。特に、売却手続きが複数の証券会社にまたがる場合は、必要部数を事前に確認し、多めに取得しておくとスムーズです。
  4. 売却依頼書
    売却する株式の詳細(銘柄、株数、売却価格など)を記入します。記入内容に不備があると手続きが遅れるため、証券会社のサポートを受けながら慎重に記載してください。
書類準備のポイント
証券会社ごとの違いを確認

必要書類は証券会社ごとに異なる場合があるため、事前に取引証券会社に確認することをおすすめします。

不足書類がないよう計画的に準備

書類の取得には時間がかかる場合があります。特に印鑑証明書や戸籍謄本は発行に数日かかることもあるため、余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。

書類の保管方法

取得した書類は紛失しないよう厳重に保管してください。郵送が必要な場合は、追跡可能な方法で送ると安心です。

04非上場株式の解約対応

買取先の検討

非上場株式は、上場株式のように市場で自由に売買できないため、売却先を個別に探す必要があります。以下に、主な買取先の選択肢とその特徴をまとめました。

買取先 詳細内容 メリット デメリット
会社による買取 被相続人が株式を保有していた会社が、相続した株式を買取るケース。 迅速に手続きが進む場合が多い。会社の経営状況を考慮した価格が提示される。 会社に買い取る意思がない場合は成立しない。買収価格が低い可能性がある。
他の株主による買取 既存株主が株式を買い取るケース。株主間の協議により価格や条件を調整。 会社に影響を与えない売却が可能。買い手が比較的見つかりやすい。 株主間の交渉が必要で、条件がまとまらない場合は時間がかかる。
第三者への売却 第三者(個人や法人)に株式を売却するケース。特に事業承継を目的とした売却に適している。 高値で売却できる可能性がある。新たな経営者を迎えられる場合がある。 売却相手を見つけるまでに時間がかかる。会社の承認が必要な場合がある。
1
会社による買取

非上場株式の売却先として最も簡単な方法が、被相続人が株式を保有していた会社自体に買い取ってもらうことです。

手続きの流れ

会社に買取意思を確認し、売却価格や条件について交渉します。会社の経営状況によっては、買取が拒否される場合もあるため、事前に会社の意向を確認することが重要です。

注意点

株式買取の価格が市場価格ではなく、会社の財務状況や評価基準に基づく場合があるため、価格に納得できるかを確認してください。

2
他の株主による買取

会社の既存株主に株式を売却する方法も一般的です。特に、既存株主が追加の持分を取得することで経営権を強化したい場合、この方法が選ばれることが多いです。

交渉のポイント

他の株主に連絡を取り、売却条件や価格について協議します。既存株主が複数いる場合、株主総会や協議会を通じて調整することが求められる場合があります。

メリット

既存株主に売却することで、会社の運営に影響を与えずに株式を処分できる可能性があります。

3
第三者への売却

非上場株式を第三者に売却する場合、事業承継や投資目的で株式を購入する相手を探す必要があります。

売却相手の探し方
  • 公認会計士や税理士などの専門家のネットワークを活用する。
  • 事業承継を支援する機関や団体に相談する。
注意点

第三者への売却には、会社の事前承認が必要な場合があります。売却契約を締結する前に、会社の定款や株主間契約を確認してください。

非上場株式の売却先を検討する際には、会社、既存株主、第三者のいずれが最適かを状況に応じて判断することが重要です。それぞれの買取先のメリットとデメリットを比較し、相続人全員の意向を考慮して適切な選択を行いましょう。

売却価格の決定

非上場株式の売却価格を決定するには、正確な株価算定が必要です。株式の価値を適切に評価し、相手方との交渉や税務申告に備えることが重要です。以下に、売却価格を決定する際の具体的な方法とポイントを解説します。

株価算定の方法

非上場株式の株価は、上場株式のような市場価格が存在しないため、独自の評価方法を用いて算定します。主に以下の3つの方法が一般的です。

算定方法 概要 適用ケース
純資産価額方式 会社の純資産(資産総額 – 負債総額)を基に株価を算定する方法。 資産の多い企業や解散を前提とした評価に適している。
収益還元方式 将来の収益見込みを基に、現在価値として株価を算定する方法。 継続して事業を行う企業や収益性が高い企業に適している。
類似業種比準方式 上場企業の類似業種の株価倍率を基に、非上場株式の価値を算定する方法。 比較対象となる類似企業がある場合に適している。
売却価格の交渉

算定した株価を基に、売却先との価格交渉を行います。交渉を成功させるには、売却相手の状況やニーズを考慮しつつ、適正価格を提示することが重要です。

交渉のポイント
  • 株式の価値だけでなく、企業の成長性や将来性をアピールすることで高値で売却できる可能性があります。
  • 売却先が会社や他の株主の場合、信頼関係を維持するため、あまり高額を要求しないバランスが求められます。
専門家のサポート

税理士や公認会計士などの専門家を交えた交渉を行うと、価格設定や税務面のリスクを抑えつつ交渉が進められます。

税務上の適正価格

税務上の観点からも、売却価格が適正であることが重要です。不適正な価格設定は税務調査の対象となるリスクがあるため、以下の点を確認しましょう。

適正価格の基準

株価算定の方法に基づき、税務署が認める価格範囲内で設定する必要があります。過剰に低い価格設定は贈与と見なされる場合があります。

税務リスクの回避

適正な評価方法を用いて算定し、その証拠として算定資料や根拠を保存しておくことが大切です。これにより、後日の税務調査に備えられます。

専門家の活用

税務申告書に添付する財産評価明細書を作成する際、税理士や会計士の助けを借りることで、より信頼性の高い申告が可能になります。

非上場株式の売却価格を決定するには、適切な算定方法を用い、売却相手との交渉や税務上の要件を満たすことが求められます。算定した価格が相場に適しているか、交渉や税務対応の際に問題がないかを専門家に確認することで、スムーズな取引が可能です。

05証券会社別の解約手続き

大手証券会社の場合

大手証券会社での解約手続きは、基本的な流れは共通していますが、各証券会社で若干の違いがあります。店舗窓口や郵送、オンラインを活用して手続きを進めることが一般的です。以下に、大手証券会社での解約手続きにおける特徴や注意点をまとめました。

項目 詳細
手続き方法 店舗窓口での対応が中心ですが、郵送やオンラインでの手続きが可能な場合もあります。
必要書類 戸籍謄本、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書、本人確認書類、証券会社指定の解約申請書などを準備する必要があります。
解約期間 書類提出から手続き完了まで、通常数週間かかることが多いですが、時期によってはさらに時間がかかる場合もあります。
サポート窓口 専用の相続手続き窓口やサポートセンターが設けられていることが多く、相談や進捗確認が可能です。
手続きの流れ(共通)
  1. 必要書類の準備
    証券会社ごとに指定される書類を確認し、事前に揃えます。不備がないよう、チェックリストを活用するとスムーズです。
  2. 証券会社への連絡
    証券会社のサポート窓口や店舗窓口に連絡し、解約手続きの開始を申し出ます。オンラインや電話で手続きに関する詳細を確認することも可能です。
  3. 書類の提出と確認
    準備した書類を窓口に持参または郵送します。一部の証券会社ではオンラインアップロードが可能な場合もあります。
  4. 株式の売却・解約手続き
    提出書類の確認が完了次第、株式の売却または解約手続きが進みます。売却代金は指定した相続人代表者の口座に振り込まれます。
注意点
手続きにかかる期間

書類の確認や株式の売却手続きには通常数週間かかるため、余裕を持ったスケジュールで進めることが重要です。特に繁忙期には手続きが遅れる場合があるため、早めの対応をおすすめします。

書類不備の防止

書類の不備は手続きの遅延の大きな要因です。証券会社の窓口やサポートセンターで事前に確認することで、不備を防ぐことができます。

サポート窓口の活用

大手証券会社では、専用の相続手続き窓口やサポートセンターが用意されていることが多く、不明点を直接相談できます。オンライン相談や電話対応を利用するのも効率的です。

ネット証券の場合

大手ネット証券での株式解約手続きは、オンラインを活用した効率的な手続きが特徴です。一般的な証券会社と同様に必要書類を揃え、指定された手順に従うことで解約が完了します。ただし、ネット証券特有の手続き方法や注意点があるため、事前に確認しておくことが重要です。

項目 詳細
手続き方法 主にオンラインや郵送で進める。窓口対応はなく、すべてデジタルプラットフォーム上で完結するのが一般的。
必要書類 戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書、本人確認書類、ネット証券指定の解約申請書などを準備する必要がある。
サポート体制 相続専用のサポート窓口(電話やメール)が設けられており、手続きに関する質問や相談が可能。
手続き期間 書類提出から解約完了まで通常1~2週間。混雑時や書類不備がある場合はさらに時間がかかる可能性がある。
手続きの流れ(共通)
  1. オンラインでの情報確認
    ネット証券の公式ウェブサイトにアクセスし、相続手続き専用ページで必要書類や手続きの流れを確認します。FAQやチャットサポートを活用すると、不明点が解消されやすいです。
  2. 必要書類の準備
    指定された書類(戸籍謄本、印鑑証明書など)を揃えます。郵送手続きの場合は、ネット証券から送られる専用の解約申請書を使用します。
  3. 書類の提出
    書類を郵送またはアップロードします。一部のネット証券では、書類のデジタル提出が可能で、手続きが効率化されます。
  4. 株式の売却または名義変更手続き
    書類確認後、ネット証券のプラットフォームを通じて株式の売却または名義変更が進められます。売却代金は指定した銀行口座に振り込まれます。
注意点
オンライン手続きの利便性

ネット証券では、解約手続きの大部分をオンラインで進められます。ただし、一部の書類(戸籍謄本など)は郵送が必要な場合があるため、指示を正確に確認しましょう。

書類不備の防止

書類に不備があると手続きが大幅に遅れる可能性があります。アップロード前や郵送前に内容を確認することを徹底してください。

進捗確認機能の活用

ネット証券では、手続きの進捗を確認できるオンライン機能がある場合が多いため、定期的にチェックして対応漏れを防ぎましょう。

サポート窓口の利用

ネット証券特有の手続きに不安がある場合、電話やメールで相談できる相続専用窓口を活用することで、スムーズに解約を進めることができます。

06解約時の注意点

売却のタイミング

株式の売却タイミングは、売却益を最大化するための重要なポイントです。相場状況や配当基準日、売却手数料などを考慮して適切なタイミングを選ぶことで、相続手続きを有利に進めることが可能です。

相場状況の確認

株式の市場価格(相場)は日々変動します。売却タイミングを選ぶ際には、相場状況を慎重に確認しましょう。

現在の市場動向を把握

証券取引所のデータや証券会社の情報を活用し、株式の市場価格が高いタイミングで売却を検討します。

長期的な相場予測

株価の上昇が見込まれる場合、売却を先延ばしにすることでより高い価格で売却できる可能性があります。ただし、相続税申告の期限が迫っている場合は注意が必要です。

専門家の助言を活用

証券会社の担当者やファイナンシャルプランナーから、売却タイミングに関する助言を受けるとより良い判断が可能です。

配当基準日との関係

株式の配当を受け取るためには、配当基準日(権利確定日)に株式を保有している必要があります。この点を考慮して売却タイミングを決定します。

項目 詳細
配当基準日とは 株主が配当金を受け取るために株式を保有していなければならない日付。通常、企業の決算期に設定される。
配当を受け取る場合 配当基準日以降に株式を売却することで、配当金を受け取ることが可能。ただし株価が基準日後に下落するリスクがある。
配当を受け取らない場合 配当基準日前に売却することで、株価下落のリスクを回避できる可能性がある。
売却手数料の確認

株式の売却には証券会社に支払う手数料が発生します。手数料の額や計算方法を確認し、売却益を最大化するための参考にしましょう。

手数料の種類
  • 取引手数料: 株式売却にかかる基本的な手数料。
  • ネット証券の割引: ネット証券を利用する場合、手数料が割安になることが多いです。
手数料の比較

証券会社ごとに手数料が異なるため、取引を予定している証券会社の手数料体系を事前に確認し、必要に応じて複数社を比較検討します。

手数料と売却価格の関係

手数料が高い場合、売却価格が低くなってしまうため、手数料を考慮した売却計画を立てることが重要です。

株式の売却タイミングは、相場状況、配当基準日、売却手数料の3つのポイントを考慮して決定することが重要です。相場の動向を適切に把握し、配当の受け取りや手数料を見据えた売却戦略を立てることで、最適な結果を得られる可能性が高まります。不安がある場合は、証券会社や専門家のアドバイスを活用して、リスクを最小限に抑えた手続きを進めましょう。

07税務上の留意点

売却のタイミング

株式の売却に伴う税務上の対応は、相続手続きの重要な要素です。取得費の計算や売却益に対する税金の処理、損失が出た場合の対応について理解しておくことで、適切な税務申告が可能になります。

取得費の計算方法

取得費とは、売却益を計算する際に基準となる株式の購入価格や手数料を指します。相続株式の場合、取得費の算定は以下の方法で行います。

被相続人が購入した株式の場合

被相続人が株式を取得した際の購入価格や手数料が取得費として引き継がれます。購入時の契約書や取引明細を確認してください。

被相続人が保有期間中に株式分割を受けた場合

分割後の取得費は、分割前の購入価格を新たな株数で按分して計算します。

取得費が不明な場合

特定の取得費がわからない場合、税法上の簡便法として売却価格の5%を取得費として計上できます。ただし、この方法を用いると課税額が増える可能性が高いため、可能な限り正確な取得費を調査することをおすすめします。

売却益の税金

株式を売却して利益が出た場合、その売却益(譲渡所得)には税金が課されます。税額を適切に計算し、納税の準備を進めましょう。

項目 詳細
課税対象額 売却価格から取得費と売却時の手数料を差し引いた金額が譲渡所得として課税対象になります。
税率 譲渡所得に対して約20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)が課されます。
納税方法 株式売却時に証券会社が源泉徴収する特定口座を利用する場合、自動的に納税されます。一方、一般口座を利用する場合は確定申告が必要です。
損失が出た場合の対応

株式売却で損失が発生した場合も、税務上の対応が求められます。損失を適切に処理することで、将来の税負担を軽減することが可能です。

譲渡損失の繰越控除

譲渡損失が発生した場合、その損失額を翌年以降3年間にわたり繰り越して、譲渡益と相殺することができます。繰越控除を利用するには、損失が発生した年に確定申告を行う必要があります。

他の譲渡益との損益通算

株式以外の譲渡益がある場合、損益通算により譲渡損失を差し引くことが可能です。この場合も確定申告が必要です。

損失の証拠書類を保管

損失が発生した際の取引明細や契約書を保管しておくことで、税務申告時の証拠として活用できます。

相続株式の解約をスムーズに進めるために

相続株式の解約は、上場株式と非上場株式で手続きが異なり、それぞれに特有のポイントがあります。上場株式の場合、証券会社での相続手続きを完了した後、売却タイミングや市場価格を考慮して進めます。配当基準日や手数料などの条件も確認し、適切な計画を立てることが重要です。一方、非上場株式は市場がないため、会社や他の株主、第三者への売却を検討します。この際、株価算定方法や交渉による価格決定が必要となり、税務上の適正価格を意識することが求められます。

解約には必要書類の準備が不可欠で、戸籍謄本や遺産分割協議書などを事前に揃えておくことで、手続きがスムーズに進みます。また、ネット証券の場合はオンライン手続きが主流で、進捗確認やサポート窓口の活用が効果的です。税務面では、取得費や譲渡益の計算、損失が出た場合の繰越控除など、正確な対応が求められます。不明点がある場合は、専門家のアドバイスを活用し、効率的に手続きを進めることが重要です。

初回無料

相続のご相談ならお気軽に面談受付中

相続相談に関するご予約

022-714-6134 受付時間 10:00 - 18:00

みらいえ相続グループホームページ