手続きの流れ

初めてでも安心!
専門家が解説する相続手続き

01相続手続きの基本知識

相続は、大切な家族が亡くなったときに残された財産や権利を引き継ぐ手続きです。しかし、いざ相続が発生すると「どこから手をつけてよいのかわからない」と戸惑われる方も多いのではないでしょうか。相続手続きには法的な要件や期限が存在し、手続きが進む流れも複雑なため、事前に基本知識を理解しておくことが大切です。
ここでは初めて相続に関わる方にもわかりやすく、専門家がサポートしながら進められる「相続手続きの流れ」を解説しています。相続に必要な基本的な知識を学び、スムーズに手続きを進めるためのポイントをご紹介します。
各手続きは期限が設けられているため、焦らずしっかり準備をしながら進めていきましょう。表組みや一覧表を活用し、ひと目でわかる構成にしていますので、ご活用ください。

相続とは?相続が発生するタイミング
相続の法的定義

相続とは、亡くなった方(被相続人)が生前に所有していた財産や権利、また義務を相続人が引き継ぐ法律上の手続きです。遺産には、不動産や預貯金といったプラスの財産だけでなく、負債などのマイナスの財産も含まれます。相続は民法によって定義され、遺言の有無や相続人の構成により手続きが異なるため、基本的なルールを知ることが重要です。

相続開始のきっかけ

相続は、被相続人が亡くなったときから始まります。具体的には、死亡届を役所に提出した日が相続の開始日とされますが、死亡診断書や火葬許可証の手配も必要となり、初期対応のステップが多くあります。表にまとめると以下の通りです。

項目 詳細説明
死亡届の提出 役所への届出が必要。通常、家族が行う。
死亡診断書の取得 医師から取得。火葬や相続手続きのために必須。
火葬許可証の発行 役所から発行。火葬を行うための許可証。
相続人の範囲と順位

相続人の範囲と順位は、民法で定められており、配偶者、子ども、父母、兄弟姉妹の順に決まります。相続人には順位があり、上位の人がいれば下位の人には相続権がないため、誰が相続人となるかを確定するのが重要です。以下に一般的な相続人の順位を示します。

順位 相続人 説明
第1位 配偶者と子ども 配偶者は常に相続人となり、子どもがいれば子どもと共同で相続します。
第2位 配偶者と父母 子どもがいない場合、配偶者と父母が共同で相続人となります。
第3位 配偶者と兄弟姉妹 子どもも父母もいない場合に、配偶者と兄弟姉妹が共同で相続人となります。

相続人の範囲や順位を確認することで、誰が相続手続きに関わるかが明確になります。相続が発生した際には、早めに相続人を確定するために戸籍謄本の収集が必要です。

相続手続きの期限について

相続手続きには、重要な期限が複数設定されています。特に相続税の申告期限は、遅延するとペナルティが発生するため注意が必要です。
ここでは、主な期限について解説します。

相続税の申告期限(10ヶ月以内)

相続税の申告は、被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。この期間内に申告と納税が完了していない場合、延滞税や加算税が課される可能性があります。なお、相続税が発生するかどうかは、相続財産の評価額や基礎控除の適用によって異なるため、専門家のアドバイスを受けることが望ましいです。

項目 詳細説明
申告期間 被相続人の死亡翌日から10ヶ月以内
延滞税・加算税 期限内に申告・納税しない場合に発生する可能性がある
相続税の基礎控除額 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)
遺産分割の期限

遺産分割には法的な明確な期限はありませんが、相続税の申告と密接に関係しています。10ヶ月以内に遺産分割が確定していない場合、一旦法定相続割合に基づいて申告し、その後に遺産分割が成立した際に修正申告を行う必要がある場合があります。遺産分割協議が長引くと、修正申告など手続きが煩雑になるため、早期の話し合いが望ましいです。

その他の重要な期限

相続手続きでは、その他にも重要な期限が複数存在します。例えば、相続放棄や限定承認の申立ては3ヶ月以内に行う必要があり、これを過ぎると自動的に相続を承認したと見なされます。また、相続した不動産の名義変更や金融機関の口座手続きについても、早めに対応することで後々のトラブルを防ぐことができます。

項目 期限 説明
相続放棄・限定承認の申立て 3ヶ月以内 自分に相続の権利があると知った時点から3ヶ月以内に申請が必要
不動産の名義変更 期限はないが早めが推奨 名義変更は早期に行わないと第三者への売却などが制限される可能性がある
金融機関の口座手続き 期限はないが早めが推奨 凍結された口座の解除手続きには必要書類の準備が重要

期限に遅れると手続きが複雑になるため、事前に必要な書類やスケジュールを確認してスムーズに対応することが大切です。

遺産分割の期限のスケジュール

02相続手続きの全体の流れ

STEP1 死亡直後の緊急対応(~1週間)

相続手続きの最初のステップは、被相続人が亡くなった直後の対応です。家族が亡くなると感情的にも慌ただしい時期ですが、相続手続きに必要な各種証明書の取得が必要です。この段階では、死亡届の提出や火葬許可証の取得が重要になります。

死亡届の提出

死亡届は、被相続人が亡くなったことを市区町村役場に届け出る書類で、通常は7日以内に提出する必要があります。提出するのは、通常、親族や同居人ですが、病院や施設で死亡した場合は、病院が書類を用意してくれることもあります。

火葬許可証の取得

火葬許可証は、遺体を火葬するために必要な許可証で、死亡届を提出後、市区町村役場から発行されます。この許可証がなければ火葬を行えないため、速やかに手配をする必要があります。発行手数料がかかる場合もあるので、自治体の案内に従ってください。

必要な証明書の取得リスト

相続手続きには、多くの証明書類が必要になります。特に相続人の範囲を確認するために、被相続人の戸籍謄本や除籍謄本、さらには住民票の除票などが必要です。これらの証明書は後の遺産分割や名義変更にも必要となるため、漏れがないようリスト化しておくと良いでしょう。

証明書名 説明 使用する場面
死亡診断書 医師から発行される書類で、死亡届提出時に必要 死亡届の提出
戸籍謄本・除籍謄本 被相続人の出生から死亡までの戸籍を確認できる書類 相続人の確定、遺産分割、各種手続き
住民票の除票 被相続人の最後の住所を確認する書類 相続税の申告、名義変更手続き
火葬許可証 火葬を行うための許可証 火葬手続き

この段階で必要な証明書を揃えておくことで、後の手続きがスムーズに進みます。家族で確認しながら進めるか、行政書士などの専門家に相談するのも良い方法です。

STEP2 相続関係の調査(1週間~1ヶ月)

相続の開始後、次の段階として相続関係の調査を進めます。この段階では、戸籍謄本などを収集し、法定相続人の確定や財産の範囲を把握する作業が中心となります。相続人や相続財産がはっきりしないと、後の遺産分割や手続きが複雑になるため、丁寧に進めることが重要です。

戸籍謄本等の収集

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人の戸籍謄本を収集することで、法定相続人を確定させます。これには、被相続人の本籍地が複数にわたる場合もあり、取り寄せに時間がかかることがあるため、早めに取り組むのが望ましいです。

項目 説明
被相続人の戸籍謄本 被相続人の出生から死亡までの戸籍を確認し、法定相続人を確定するために必要
相続人の戸籍謄本 相続人の身分を証明するための書類で、相続手続き全般で必要になる
収集方法 被相続人の本籍地の役所に請求(郵送での取り寄せも可能)
収集にかかる期間 取り寄せ先や手続きによって異なるが、1週間から10日程度かかる場合があることも
相続人の確定

収集した戸籍をもとに、法定相続人を確定します。法定相続人が確定することで、遺産分割の対象者が決まり、各種手続きを進めやすくなります。ここでの相続人には、配偶者や子どもが含まれるのが一般的ですが、被相続人の兄弟姉妹やその子どもが関わる場合もあるため、確認が欠かせません。

相続財産の調査開始

相続人が確定したら、相続財産の調査に着手します。被相続人が残した財産には、不動産や預貯金、株式などの資産のほか、借入金などの負債も含まれます。財産目録を作成することで、相続財産の全体像が見えてきます。以下に財産調査の主な項目を表形式で示します。

● 財産調査の主な項目
財産項目 調査内容
不動産 登記簿謄本の取得、名寄帳の取得、評価額の確認
預貯金 各金融機関での残高証明書の発行手続き
有価証券 株式や投資信託の名義確認と評価(証券会社での残高確認)
負債 借入金や未払いの税金など、負の財産の有無を確認
生命保険金 保険金の受取人と保険金額の確認(非課税枠の適用の有無も確認)

財産調査をしっかりと行い、財産目録を整えることで、次の遺産分割や相続税申告がスムーズに進められます。

STEP3 遺産の把握(1~3ヶ月)

相続人の確定が終わったら、次は遺産の詳細な把握に進みます。このステップでは、不動産や金融資産、負債など、相続財産全体を明確にし、財産目録を作成することが目的です。これにより、遺産分割や相続税申告が円滑に進められます。

不動産の調査

相続財産の中で大きな割合を占めることが多い不動産は、必ず詳細な調査を行います。具体的には、不動産登記簿謄本を取得して、所有者情報や評価額、所在地などを確認します。また、不動産の評価額は相続税申告の際に重要になるため、路線価や固定資産税評価額なども参考にしながら把握しておきましょう。

預貯金・有価証券の調査

金融資産の調査では、被相続人が口座を持っていたすべての金融機関で残高証明書を取得し、預貯金額を確認します。また、株式や投資信託などの有価証券も相続財産に含まれるため、証券会社での残高確認が必要です。金融機関によっては、相続手続きのための書類提出を求められることがあるため、早めに各金融機関に連絡し、必要書類を確認しておくと良いでしょう。

項目 調査内容
預貯金 各金融機関で残高証明書を取得し、口座の内容を確認
株式・投資信託 証券会社で残高証明を取得し、所有する株式や投資信託の銘柄と評価額を確認
未解約の保険金 生命保険や年金保険の有無を確認し、受取金の有無を確認
負債の確認方法

負債がある場合、それも相続財産の一部として含まれるため、正確に確認する必要があります。被相続人が契約していた借入金やクレジットカードの未払い残高、税金の滞納がないかを確認します。負債の内容は相続税の計算に影響するため、金融機関や役所に問い合わせ、書面で確認を取ることが望ましいです。

相続財産目録の作成

調査が終わったら、相続財産目録を作成します。これは、遺産分割協議や相続税申告の基礎となるもので、すべての相続財産を一覧表にまとめることが重要です。以下の表のように、財産や負債を分類し、具体的な内容を記載しておくとわかりやすくなります。

種類 内容 評価額
不動産 住所や評価額など ○○万円
預貯金 銀行名・支店名・口座残高 ○○万円
有価証券 株式や投資信託の銘柄と数量 ○○万円
負債 借入金や未払税金 ▲○○万円

財産目録を整理することで、次のステップである遺産分割協議が円滑に進められます。

STEP4 遺産分割協議(3~6ヶ月)

遺産の把握が終わったら、相続人間で遺産分割協議を行います。このステップでは、遺産分割の方針を決めるために、遺言書の確認や相続人間での話し合いが必要です。遺産分割協議が整ったら、協議書を作成し、相続人全員の署名・押印をもって協議が成立します。

遺言書の有無の確認

遺産分割協議を始める前に、まず被相続人が遺言書を残しているかを確認します。遺言書が存在する場合、その内容に従って相続を進めることが求められ、遺産分割協議は必要ありません。ただし、相続人全員が同意すれば、遺言書の内容を変更する協議も可能です。遺言書には以下の種類があり、それぞれに保管場所や確認手続きが異なるため、確認方法に注意が必要です。

遺言書の種類 説明
自筆証書遺言 被相続人が自筆で作成した遺言書。
法務局で保管されている場合もあるが、通常は自宅などで保管されることが多い
公正証書遺言 公証役場で作成される遺言書。確実に保管され、原本が公証役場に残されるため、発見が容易
秘密証書遺言 遺言者のみが内容を知り、公証役場で封印される遺言書。開封には家庭裁判所の検認が必要
遺産分割協議の進め方

遺産分割協議がまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」に記載します。協議書は後の名義変更や相続税申告などの手続きに必要であるため、正確な記載が求められます。協議書には相続人全員の署名・押印が必要で、実印と印鑑証明書を用意します。以下の表に、協議書作成の重要なポイントをまとめます。

● 協議書作成の重要なポイント
項目 説明
記載内容 各相続人が取得する財産の詳細(不動産の所在地、口座情報など)
署名・押印 相続人全員の署名と実印による押印が必要
印鑑証明書の添付 各相続人の印鑑証明書を添付(名義変更などの際に必要となるため事前に取得)
作成方法のサポート 内容が複雑な場合、行政書士や司法書士に依頼して正確な書面を作成してもらうことが可能

遺産分割協議書は、相続手続きの重要な書類であり、一度作成すると変更が難しいため、正確な記載と相続人全員の同意が不可欠です。

STEP5 各種名義変更手続き(6~10ヶ月)

遺産分割協議が完了し、各相続人が取得する財産が確定したら、次に名義変更手続きを進めます。不動産や預貯金、株式・投資信託などの財産は、取得した各相続人の名義に変更する必要があります。名義変更は相続税の申告期限(10ヶ月以内)に影響するため、余裕をもって手続きを進めましょう。

不動産の名義変更

不動産の名義変更には、法務局での相続登記が必要です。必要書類を揃えて申請を行い、被相続人名義から相続人の名義に変更します。遺産分割協議書に基づき、登記申請書、遺産分割協議書、被相続人の戸籍謄本や除籍謄本、印鑑証明書などが必要です。また、相続登記には登録免許税が発生するため、その費用も確認しておきましょう。

項目 説明
申請先 各不動産の所在地を管轄する法務局
必要書類 遺産分割協議書、登記申請書、被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、印鑑証明書など
費用 登録免許税(不動産評価額の0.4%が目安)
登記のサポート 複雑な場合は司法書士に依頼し、正確な書類作成と申請をサポートしてもらうことも可能
預貯金の名義変更

預貯金の名義変更は、相続人が金融機関で手続きを行います。各金融機関ごとに必要書類が異なる場合があるため、事前に確認が必要です。一般的には、相続人であることを証明する戸籍謄本や、遺産分割協議書、印鑑証明書が求められます。また、口座の解約や資金の分配も含めて手続きを行い、相続人の口座へ移す流れとなります。

株式・投資信託の名義変更

株式や投資信託などの有価証券の名義変更は、証券会社または発行会社で行います。証券会社に残高がある場合、相続人の名義に変更するために、遺産分割協議書、戸籍謄本、印鑑証明書などの書類が必要です。名義変更が完了すると、相続人が株式や投資信託の取引や配当金の受け取りを行えるようになります。

各名義変更手続きが完了することで、相続財産を正式に相続人のものとして管理・運用できるようになります。手続きごとに必要な書類が異なるため、事前に確認し、計画的に進めていきましょう。

STEP6 相続税の申告(~10ヶ月)

相続財産の名義変更が進んだら、次に相続税の申告を行います。相続税の申告は、被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。期限を過ぎると延滞税や加算税がかかるため、早めに準備を整えましょう。

相続税の基礎控除額

相続税には「基礎控除額」が設けられており、相続財産がこの控除額以下であれば相続税はかかりません。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。この控除額を超える財産がある場合のみ、相続税の申告と納税が必要になります。

項目 説明
基礎控除額の計算式 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
控除例 法定相続人が2人の場合:3,000万円 + 600万円 × 2人 = 4,200万円が基礎控除額
控除額超過時の対応 控除額を超えた相続財産がある場合に申告が必要
申告が必要なケース

相続税の申告が必要かどうかは、相続財産が基礎控除額を超えるかで判断します。基礎控除額を超えた場合は、すべての財産について評価を行い、相続税額を計算します。財産の評価には、不動産、預貯金、株式、生命保険などが含まれます。基礎控除内に収まる場合は申告の義務はありませんが、専門家に相談し、正確に評価を確認することが望ましいです。

納税方法の選択

相続税の納税方法は、現金一括納付が原則です。しかし、現金での納税が難しい場合は「延納」や「物納」という選択肢もあります。延納は分割払いの制度で、物納は現金の代わりに不動産などで納付する方法です。延納や物納には一定の条件があるため、利用を検討する場合は早めに税務署や専門家に相談することが大切です。

項目 説明
一括納付 原則として現金で一括納付
延納 分割納付制度。担保が必要であり、延納には利子税がかかる
物納 不動産などで納付する方法。現金での納付が困難な場合に限られ、事前の申請が必要
申請先・相談先 延納や物納を希望する場合、税務署または税理士などの専門家に早めに相談するのが望ましい

相続税の申告・納税は複雑な手続きが多いため、税理士などの専門家に依頼すると安心です。期限を守り、適切な手続きを行いましょう。

スムーズな相続手続きのために

相続手続きは、亡くなった方の財産を引き継ぐ大切なプロセスであり、法的な手順や期限に従って進める必要があります。各ステップには、死亡届の提出から始まり、相続人の確定、財産の調査、遺産分割協議、名義変更、そして相続税の申告と納税が含まれます。特に、相続税の申告は10ヶ月以内に行う必要があり、遅れると延滞税がかかるため、計画的に進めることが重要です。

また、手続きには多くの書類が必要となり、特に遺産分割協議の際には相続人全員の同意が必要です。名義変更や相続税の申告は、各相続人が正確に財産を引き継ぐために必須です。初めての方には手続きが複雑に感じられるかもしれませんが、専門家に相談することで手続きを効率的に進め、安心して相続を完了することができます。

初回無料

相続のご相談ならお気軽に面談受付中

相続相談に関するご予約

022-714-6134 受付時間 10:00 - 18:00

みらいえ相続グループホームページ