財産評価に必要な資料一覧
相続財産の把握は、それぞれの相続財産を相続税法の諸規則にしたがって評価して行います。
相続税法の諸規則にしたがってそれぞれの財産を評価することを財産評価といいます。
このページでは、相続財産の財産評価を行う際に準備すべき資料について記載しております。
相続財産はプラスの相続財産である資産と、マイナスの相続財産である債務に分類できます。
資産(プラス)と債務(マイナス)を差し引きして相続税の対象となる相続財産が求められます。
資産の財産評価に必要な資料一覧
プラスの相続財産には現金預金、有価証券、土地建物等の不動産、未収入金等が含まれます。
預貯金の財産評価に必要な資料
預貯金の残高が相続財産になります。被相続人の亡くなった日の各種銀行残高(定期預金や普通預金等)を明らかにする書類が必要になります。
・預金通帳(過去3年分)
・定期性預金がある場合は、預金証書
・預金残高証明書
死亡直前に引き出されたり解約された預貯金で使途不明なものは手元現金残高として推測します。
生命保険等の財産評価に必要な資料
被相続人が保険料を支払っていた生命保険契約が相続財産になります。保険会社から実際に支払われた生命保険金や将来支払われるべき年金等を明らかにする書類が必要になります。
・保険証書
・死亡保険金の支払明細書
未収金(退職金、最終給与、貸付金等)の財産評価に必要な資料
退職金や貸付金等の各種未収金の将来支払われるべき金額を明らかにする書類が必要となります。
・死亡退職金や弔慰金。最終給与の支払い通知書
・貸付金のある場合は金銭貸借契約書
・契約に基づく未収金のある場合は、請求書や契約書等
土地・建物等不動産の財産評価に必要な資料
被相続人が保有していた土地・建物等の不動産は相続財産になります。土地・建物等の所有権や形状、面積などを明らかにする書類が必要となります。
・登記簿謄本(土地及び建物)
・固定資産税評価証明書(土地及び建物)
・土地の実測図や地積図等土地の形状及び面積のわかる資料
・不動産の場所がはっきりわかる地図(土地及び建物)
・賃貸している場合は賃貸借契約書(土地及び建物)
取引相場のある有価証券等の財産評価に必要な資料
被相続人が保有していた上場株式や国債等の有価証券は相続財産になります。有価証券の種類により時価を明らかにする書類が異なります。
・証券会社に預けている有価証券の残高証明書
・自宅で保管している有価証券がある場合、有価証券そのもの
自社株等取引相場のない有価証券の財産評価に必要な資料
取引相場のない有価証券を評価するには、その会社自体の財産評価を行わなければいけません。会社が保有している資産および負債について、被相続人の相続財産の評価と同様の資料が必要となります。
・過去3年分の決算書、法人税申告書
・不動産を保有している場合は、土地・建物等不動産の財産評価に必要な資料(被相続人の財産評価と同様の資料)
・取引相場のある有価証券を保有している場合は、取引相場のある有価証券等の財産評価に必要な資料(被相続人の財産評価と同様の資料)
負債の財産評価に必要な資料一覧
マイナスの相続財産には借入金、未払金、葬式費用等が含まれます。
借入金の財産評価に必要な資料
被相続人の残した銀行借入金残高は、マイナスの相続財産としてプラスの相続財産から差し引くことができます。死亡時の借入金残高が相続財産の評価額になります。
・借入残高証明書。借入金返済予定表など
・金銭消費貸借契約書
未払金の財産評価に必要な資料
被相続人に関する死亡後の支払いで、死亡時に未払いであったものはマイナスの相続財産に含まれます。支払金額が相続財産の評価額になります。
・固定資産税や所得税、住民税など、死亡時に未払いの税金のある場合はその通知書や領収書
・死亡後に支払った医療費がある場合はその請求書や領収書
・クレジットカードの未払金がある場合はその明細書
・そのほか被相続人に関する各種請求書や領収書など
注)墓地や仏壇などの相続税の課税されない財産に係る未払金は未払金に含まれません。被相続人が元気なうちに墓地や仏壇の用意をしておくことは相続税対策の1つです。
葬式費用の集計に必要な資料
葬式費用も被相続人にかかわる未払金の一部としてマイナスの相続財産に含まれます。遺産額から差し引ける葬式費用として認められるのは、通常次のようなものです。
・死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用の領収書
・遺体や遺骨の回送にかかった費用の領収書
・葬式や葬送などを行うときやそれ以前に火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が認められます。)の領収書
・葬式などの前後に生じた出費で通常葬式などにかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれにあたります。)の領収書
・葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用の領収書
次のような費用などは、遺産額から差し引ける葬式費用とは認められません。
・香典返しのためにかかった費用
・墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
・初七日や法事などのためにかかった費用
被相続人と相続人の相続関係(身分関係)を証明する資料
・被相続人の出生から除籍までの戸籍謄本(除籍謄本を含む)
・被相続人の住民票除票
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の住民票
・相続人全員の印鑑証明
[監修]佐藤 智春
【代表 税理士・行政書士】
経歴:仙台大原簿記専門学校卒業後、宮城県で最年少税理士登録。16年以上の実務経験を持ち相続専門税理士として数多くの案件を手がける。
(2023年相続税申告実績/179件)
税理士佐藤智春は税理士の日(2月23日)に産まれた40歳です(2024年現在)。若いからこそ、二次相続はもちろん、三次相続までサポートできます。多くの案件をこなしているからこそ三次相続まで見据えた遺産の分け方を提案しています。