「配偶者居住権」とは、配偶者がそのまま自宅に住み続けることができる権利です。不動産の所有権を「居住権」と「所有権」に分けて、それぞれ別の人が相続することが出来るようになったのです。
実は、この権利が出来た頃は、配偶者居住権は相続人間の仲が悪い場合などに使うことがあるか
どうかくらいで、あまり、適用になる方はいらっしゃらないと思っていました。
しかし、相続税申告が必要なお客様とのご面談の際に、先日父の相続について、
遺産をどのように相続するべきか、母の2次相続も踏まえ様々なシミュレーションを
行ったときのことです。
相続人は、配偶者、Aさん、弟のBさんの3人です。
Aさんからのご相談内容
①母に自宅に住み続けて欲しい
②自宅はいずれ大規模リフォームが必要になるが、そのお金はAさんが管理したい
③リフォームした後に自分たちも同居したい
④相続税を抑えたい
仙台相続サポートセンターからのご提案
この条件を叶えることは通常容易ではありません。
母が自宅を相続すると、その自宅のリフォーム費用は母が負担しなければなりません。
そうすると、多くの預貯金を母が相続することとなり、2次相続の際には相続税が高く
なってしまいます。もし、Aさんがリフォーム代を負担してしまった場合には、Aさんから
母へ贈与があったものとみなされ贈与税がかかることになります。
そこで今回は、この配偶者居住権を使って、母には「配偶者居住権」を、Aさんには
「所有権」をそれぞれ取得してもらう提案をさせて頂きました。
こうすることで、母は自宅に住み続けることができ、リフォームは所有者であるAさん主導の
もと検討し、費用負担をすることが出来るようになります。
また、配偶者居住権部分は小規模宅地の特例が使えるとともに、母が亡くなった際には、
配偶者居住権は配偶者の死亡により消滅するため、母の相続財産にはならないので、
ちょうどAさんのご希望に叶う提案となりました。
今後もすべての方に適用できる制度ではありませんが、相続財産の分割の際の一つの提案材料に
なりそうです。
[監修]佐藤 智春
【代表 税理士・行政書士】
経歴:仙台大原簿記専門学校卒業後、宮城県で最年少税理士登録。16年以上の実務経験を持ち相続専門税理士として数多くの案件を手がける。
(2023年相続税申告実績/179件)
税理士佐藤智春は税理士の日(2月23日)に産まれた40歳です(2024年現在)。若いからこそ、二次相続はもちろん、三次相続までサポートできます。多くの案件をこなしているからこそ三次相続まで見据えた遺産の分け方を提案しています。