建物の評価

ここでは、相続税を算出する上で、家屋や建造物などの建物の評価額を算出する方法について解説しています。
この評価額をいくらにすることが出来るかが、相続税の有無や納税額に関係するため、非常に重要なポイントとなっています

家屋の評価

家屋等も土地と同様に、現金で持っているよりも家屋として持っているほうが相続税の節税につながります。
家屋の相続税評価額を求めるには、評価する家屋の固定資産税評価額に『一定の倍率』を掛けて評価します。

1)自用家屋(自己所有の家屋を自分自身で使用しているもの)

自用家屋を評価する場合の『一定の倍率』は1.0倍として計算を行い、評価します。

【計算式】 固定資産税評価額×1.0

2)貸家(自己所有の家屋を他人に貸しているもの)

賃貸マンションや賃貸アパートなどの貸家は、自用家屋の場合と比べ借家人の権利の分だけ相続財産としての評価額が低くなります。
貸家を評価する場合には、自用家屋の価額から借家権の価額を差し引いて評価します。借家権割合は、ほとんどの地域が30%とされており、一部の地域は40%とされています。

【計算式】 自用家屋評価額×(1-借家権割合)×賃貸割合

3)使用貸借により貸し付けられた家屋

建物を借りて居住している居住者には「借家権」という権利があり、その建物をこの場合「貸家」と言います。
貸主ではなく借主が住んでいるわけですから、通常の家屋の評価とは違ってきます。
従って貸家の評価の場合は、借家権の価額を控除したものが相続税の評価となります。

【計算式】 自用家屋評価額

4)建築中の家屋

建築中の家屋は、次の計算式によって評価されます。

【計算式】 費用現価×70%

※費用現価とは、課税時期までに投下された建築費用の額を、課税時期の価額に引き直した額の合計額をいいます。

5)家屋と構造上一体となっている設備

(電気設備・ガス設備・衛生設備・給排水設備)
家屋と構造上一体となっているものについては、家屋の評価額に含まれているため、評価しません。

6)借家権

借家権の価額は以下の計算式により、評価します。

【計算式】 自用家屋評価額×借家権割合×賃貸割合

※ただし、この権利が権利金等の名称をもって取引される慣行のない地域にあるものは、評価しません。

門、塀、外井戸、屋外塵芥処理設備の附属設備の評価

(再建築価額)-(償却費の額の合計額又は減価の額)×70/100
◆再建築価額とは、相続発生時においてその財産を新たに建築又は設備するために要する費用の合計額です。
再建築価額は、国が示す「固定資産評価基準」を基に算出します。

庭園設備の評価

庭園設備とは、庭木・庭石・あずまや・庭池等をいいます。
【計算式】 調達価額×70/100
※調達価額とは、相続発生日において、その庭園設備をその時の現況により取得する場合の価額をいいます。

構築物の評価

構築物とは、ガソリンスタンド・橋・トンネル・広告塔・運動場又は野球場のスタンド・プール等です。
土地又は家屋と一括して評価するものは除かれます。

構築物の価額は、構築物の再建築価額から、建築の時から課税時期までの期間に応ずる償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額の100分の70に相当する金額によって評価します。

貸家マンション、アパートと一体となっている構築物(例:広告用看板)

[監修]佐藤 智春
【代表 税理士・行政書士】

経歴:仙台大原簿記専門学校卒業後、宮城県で最年少税理士登録。16年以上の実務経験を持ち相続専門税理士として数多くの案件を手がける。
(2023年相続税申告実績/179件)
税理士佐藤智春は税理士の日(2月23日)に産まれた40歳です(2024年現在)。若いからこそ、二次相続はもちろん、三次相続までサポートできます。多くの案件をこなしているからこそ三次相続まで見据えた遺産の分け方を提案しています。