農地等に係る納税猶予

農業を営んでいた被相続人の相続人が一定の農地を相続または遺贈により取得した場合において、その相続人が申告期限までに農業経営を開始し、その後引き続き農業経営を行う時には、納付すべき相続税額のうち一定額の納税を納税猶予期限まで猶予することができます。

1)手続

この規定を受けようとする場合には、相続税の期限内申告書にこの規定の適用を受ける旨を記載し、必要書類を添付して税務署に提出しなければなりません。
また、納税猶予を受けた相続人は、相続税の申告期限の翌日から3年ごとに農業の継続届出書を税務署に提出しなければなりません。

2)納税猶予期限

納税猶予の規定の適用を受けた農地について以下の場合に該当することとなったときはそれぞれに定める日を納税猶予期限とします。

1.納税猶予額の全部について猶予期限が確定する場合

次に定める日から2ヶ月を経過する日まで
a農地の面積の20%を超える譲渡、転用があった場合・・・その譲渡、転用があった日
b農業経営を廃止した場合・・・廃止した日
c継続届出書の提出がなかった場合・・・届出期限の翌日

2.納税猶予額の一部について猶予期限が確定する場合

次に定める日の翌日から2ヶ月を経過する日まで
a農地について収用交換等があった場合・・・その収用交換等があった日
b農地の面積の20%以下の譲渡、転用があった場合・・・その譲渡、転用があった日
c準農地について、申告期限後10年を経過する日において農業経営が行われていない場合・・・10年を経過する日
d都市営農農地等について生産緑地法による買取の申出があった場合・・・買取の申出があった日
e都市計画の決定・変更により特定市街化区域農地等に該当することとなった場合・・・その該当することとなった日

3.納税猶予額が免除される場合

納税猶予の規定の適用を受けた相続人が以下の場合の該当することとなったときは納税猶予分の相続税は免除されます。
a死亡した場合
b農地等の全部を農業後継者に贈与した場合
c申告期限の翌日から20年間農業経営を継続した場合

3)納税猶予額

農地について、通常の評価をして算出した相続税の総額から農業投資価格を基準として評価をして算出した相続税の総額を控除した金額のうち納税猶予の適用を受ける相続人に係る部分となります。

注意

農業用倉庫を建築している場合にはその敷地とされている部分の納税猶予額は納税猶予の対象とはなりません。

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[監修]佐藤 智春
【代表 税理士・行政書士】

経歴:仙台大原簿記専門学校卒業後、宮城県で最年少税理士登録。16年以上の実務経験を持ち相続専門税理士として数多くの案件を手がける。
(2023年相続税申告実績/179件)
税理士佐藤智春は税理士の日(2月23日)に産まれた40歳です(2024年現在)。若いからこそ、二次相続はもちろん、三次相続までサポートできます。多くの案件をこなしているからこそ三次相続まで見据えた遺産の分け方を提案しています。