「お客様からのご相談内容」
知人の助言やホームページを参考に生前対策をしています。
でも、ちょっと心配になってきました。
仙台相続サポートセンターからのご提案
せっかく対策を講じるのですから、正しい知識をもって相続対策を行って頂きたいです。
第三弾!!【残念な相続対策】 ~遺言書編~
<例1>預貯金の凍結解除ができない
・口座の指定について普通預金のみの記載(定期預金の記載がなかった)
・記載の無い口座が見つかった
・投資信託や国債が見つかった
遺言書に記載の無い銀行口座や金融資産があるときはこの部分の遺産分割協議が必要になります。
また、内容の解釈から協議書が必要無い場合でも、遺言執行者の指定が無いことで相続人全員の押印が必要となることがあります。
<例2>不動産について名義変更ができない
・不動産表示に住所を記載していた
・共有地や私道の不動産の記載がなかった
・不動産を託すと記載されていた
不動産の所在は地番や家屋番号を表記することが大切です。
固定資産税納税通知書が参考資料となりますが、全ての不動産が載っていません。
不課税や非課税の不動産が未記載だったり、共有地は納税通知書の発行が省略されたりします。
残念ながら遺言書に「託す」という表現をした場合、名義変更(登記)ができません。
<例3>遺言執行者が指定されていない
預金口座の解約や名義変更は相続人全員の署名・実印・印鑑証明が必要になることがあります。
必要に応じて、家庭裁判所にて遺言執行者が選定されてから解約や名義変更を行うこともあります。
遺言書において、予め遺言執行者を指定しておけばこのような手続きの負担が無くなります。
どんな遺言書でも「遺言執行者を指定する」と良いです。
例1~例3のように、遺言書の記載に不足があると、相続人全員の署名・実印が必要になります。
特定の相続人に不利な遺言であるときは、この署名押印に協力してくれることはありません。
こうなると、手続きが止まります。
揉め事防止のために、遺言書を作成したとしても、効果が無かったことになります。
<例4>相続税が高額になる
・小規模宅地の特例の適用を考慮した遺言になっていない。特例が不適用となり高めの税金の負担が生じます。
・配偶者への思いが強すぎて二次相続が考慮されていない。
配偶者に相続財産が寄りすぎると二次相続の相続税がかなり高額になります。
気持ちを優先した遺言書により、そのとおりに分けると特例が利用できない。
二次相続が高額になってしまった。という現象が起きています。
遺言書通りに分けると預貯金の相続が無いため、相続税や登記費用が手出しになる相続人もいます。
相続後の納税資金や税負担を考慮した遺言書を残すことで有難味が増すものと思います。
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上記のように、ご自身で作成された遺言書のほとんどに、なんらかの考慮不足があります。
結果、余計に相続人間で揉めてしまうことがあります。
これから遺言書を書く方は、せめて公正証書で作成しましょう。
そうすることで例1から例3のような問題はある程度予防できます。
例4のような問題は、専門家に相談しながら公正証書を作成することをお勧めいたします。
”遺言書は、書くことが大事なのではなく、手続きで活用できる遺言書であることが大事です。”
[監修]佐藤 智春
【代表 税理士・行政書士】
経歴:仙台大原簿記専門学校卒業後、宮城県で最年少税理士登録。16年以上の実務経験を持ち相続専門税理士として数多くの案件を手がける。
(2023年相続税申告実績/179件)
税理士佐藤智春は税理士の日(2月23日)に産まれた40歳です(2024年現在)。若いからこそ、二次相続はもちろん、三次相続までサポートできます。多くの案件をこなしているからこそ三次相続まで見据えた遺産の分け方を提案しています。